浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

「月刊グローバル経営」掲載

【第52回】 Dance Until It Rains  成功の秘訣

2013年06月20日 Singin' in the Rain - 雨に唄えば(Wikipediaより) 6月。雨の季節だ。 Rainにまつわる米国の習慣で興味深いのはRain Check(=小切手)。野球など野外スポーツ観戦で雨天中止になった時に、客に配る「次回に使える無料入場券」。 そこから転…

【第50回】 Springに思う「ワシントンの春」と「アラブの春」

2013年04月17日 ジェファーソン記念館(合衆国の首都ワシントンD.C.)出典:jijicom 春、Spring。 Freshman(Freshwomanとは言わない。女性がたお許しを)=新入生・新入社員の季節。苦しかった受験勉強、就活を経て、初々しい初日を迎え、まさにSpring(跳…

【第49回】 Pinchはチャンス

2013年02月20日 Pinch → Dimple 承前:「1Q84年」 ロサンジェルスでのニューメディア実験にあたり、危惧されたのは「画面を指でタッチ」する行為だった。手垢で画面が汚れ、従い、感度が鈍るかもしれず、「神聖な画面を汚してはならない」といった思いでもあ…

【第48回】 E Pluribus Unumの勝利

2013年01月10日 am(午前)、pm(午後)、AD(紀元前)、PS(追伸)、CV(履歴書)。これらの普段使いなれた「記号?」はラテン語だ。etc(et cetera)の「et」は「and」そして「cetera」は「他の」を意味する。status quoの「quo」は「of which」、つまり「th…

【第47回】 Explosion = Exposure = 被ばく!?

2012年11月05日 「=」「≠」マークは筆者が付けたものです 昨2011年9月17日。NYマンハッタンの最南地区、WTCビル(跡)に隣接するズコッティ公園に「We are 99%」を掲げるOWS(Occupy Wall Streetウオール街を占拠せよ)運動が発生した。 あたかも街全体が占…

【第43回】 「1Q84」年:Appleの挑戦

2012年06月12日 "1984" by George Orwell 4で割れる年(leap year=閏年)はオリンピックの年であり、米大統領選の年でもある。 1984年、米ロサンジェルスでの第23回夏季オリンピックはキナ臭かった。前回1980年のモスクワ五輪では、その前年のソ連のアフガ…

【第41回】 「Jobsの本」と「Jobの本」

2012年04月09日 The Economist: The Book of Jobs 「iSteve: The Book of Jobs」。昨年10月に亡くなったアップル社の創業CEOだったSteve Jobsの伝記の予稿タイトル*にハタと膝を打った。「The Book of Job(‘s’無し)」、即ち聖書の「ヨブ記」との見事なpu…

【第39回】 All Japanese でTranslate

2012年02月16日 映画「Lost in Translation」 It’s all Greek to me. 「それは私にとってギリシャ語だ」と言っても 何のことか分からない。無理もない。シェークスピアの戯曲 「ジュリアス・シーザー」 の中で陰謀加担者Caskaが使ったこの言葉は、要するにチ…

【第38回】 二面性のJanuary

2012年01月10日 古代ローマの神ヤヌス カレンダーをめくり新年。日本人にとっては気持ちの引き締まり、かつ、希望をもつ晴れやかな思いのときである。 しかし、日本以外では、年末から年始にかけての様相は大分異なる。米国では感謝祭(11月の第四木曜日)に…

【第36回】 番外編 「ブータンに日本の英語教育の光明を見る」

2011年11月28日 新婚一か月という国賓ブータン国王夫妻が日本に爽やかな旋風を運んでくれた。 国民総生産(GDP)という経済的な指標では測れない幸福度指数、GHN「Gross National Happiness」。国民の95%が幸せと思う人口70万人(九州位の土地)の小さな国…

【第35回】 Spamでなく Hamを!

2011年11月08日 米コネティカット州はNew Englandだという。NY赴任にあたり、その一言に刺激され、しかも電車で一時間という通勤圏内ということで、緑あり海ありの美しいStamford市近郊に居を構えた。 日本語表記は(スタムフォードではなく)スタンフォード…

【第33回】 「てふてふ」の韃靼雄飛

2011年09月02日 2005年、愛知万博。そのサウジアラビア館の設営準備で25年ぶりに、懐かしの地を訪ねた。見事に変貌した首都リヤドだが、旧市街や住んでいた地区は変わりなく、まさに夢のようだった。 打ち合わせのあと、皆で日本料理店で会食の時、隣にディ…

【第32回】 Force Majeure:偉大な力

2011年07月21日 「想定外」。この言葉は今や禁句のようだ。しかし、アラビア(イスラム)文化におけるIBMは「神ならぬ身、人間」の限界を言い表している。I=インシャーラ―(神のみぞ知る)、B=ブクラ(明日)、M=マレシュ(仕方がない)。つまり、人知を…

【第31回】 Secondでは駄目なのですか?

2011年06月30日 某紙に「Sue 2.0」という見出しがあった。何のことかと訝りつつ読むと、Sueという女性が事故で記憶喪失、しかし苦難を乗り越えて人生「再出発」ということだ。なるほどコンピュータ用語のVersion2.0になぞらえたうまい言葉だ。 さて、日本一…

【第30回】 夜のBreakFast

2011年05月17日 ♪Im wunderschönen Monat, Mai♪(詩;ハイネ。シューマン「詩人の恋」)、Wonderfully-Beautiful Month, May 本当に、美しい五月だ。しかし、Mayは普遍的に5th Month (of the year)なのだろうか? ものの本によれば、ローマ暦では年初は3月ゆ…

【第29回】 日本の誇るBBB

2011年03月22日 Men wanted for hazardous journey.Small wages. Bitter cold. Long months of winter. Constant danger. Safe return doubtful. Honour and recognition in case of success. この100年前の英国Sir Ernest Henry Shackleton(1874-1922)によ…

【第28回】 鴎外に学ぶInformation

2011年03月01日 1989年10月。二週間後に壁崩壊(独:Mauerfall)という歴史的瞬間を二週間後に控えたという気配すら感じられないベルリンにいた。「日本情報会議」に出席していた。会議場日独文化センターは旧日本大使館とあって重厚なもの。(現在又大使館…

【第27回】 Wheel(輪)の後(うしろ)とは?

2011年02月02日 人知・人力が及ばないという意味でFather Time(父なる時間)とならびMother Nature(母なる自然)というのは深遠な表現である。母は「産むDelivery」という重要な営みをする。慈愛に満ちた母も時には怒る。父(=時間)に1923年(大正12)9月…

【第26回】 愉快なCompany

2011年01月11日 革命(1979年)前のイランの首都テヘランでは(フランス的)文化が発達していて、豪華な歌劇場「ルダキ・ホール」で色々の歌劇やバレーが楽しめた。ここを中心に、先年亡くなったフランス人バレー振り付け師、モーリス・ベジャールは、皇后ファ…

【第25回】 Bata -靴に見るグローバル経営―

チェコ、ブルノ市にて (筆者撮影) 2010年12月10日 ナイアガラの滝はアメリカ側とカナダ側に分かれる。蹄鉄(shoe)型のカナダ側のほうが雄大だが、そこに渡るにはパスポートが必要で「国境」を実感する。交通標識が(アメリカ)のmile表示から突然km表示に…

【第24回】 色々なParty

2010年11月01日 Boston Tea Party=ボストン茶会事件。世界史で習ったところによると、イギリス政府の課した紅茶税金(Tea Act)に反発した市民が、1773年、ボストン港に停泊中の運搬船を襲撃、満載の茶箱を海中に投げ捨て、それが二年後の独立戦争の先駆けに…

【第23回】 ORANGEに学ぶ世界貿易

オランダ・ティーム (HPより) 2010年09月28日 FIFAアフリカ大会たけなわの某日、英国人顧客のネクタイが白地に 赤の十字だったので、思わず言った。「お、イングランド! Good Luck」と。相手は喜び、初対面ながら商談がスムーズに進んだ。イングランドは…

【第22回】 「(年代の)違いがわかる」nestle

2010年09月01日 Nestle プリン。あのおいしいお菓子は何だかプリンプリンという擬態語phenomime的プリティー(可愛い)な表現だ。プリンとは英語(外来語)かと思って辞書を引くと、prinはなく(custard) puddingと出てくる。プリンとはプッディング、つま…

【第21回】 Cross(すれ違い)する Culture

2010年06月07日 「アメリカ素猫」司馬遼太郎 見渡すと、何と「文化」ということばが多いことか。文化の日culture day、文化勲章order of culture、文化祭cultural festival。文化都市、文化会館、文化住宅から、文化村、文化包丁、文化鍋、そして文化干しに…

【第20回】 「謝らない人」に学んだNobody told you?

2010年05月10日 謝罪(出典:共同) 裁判員制度が導入され、一方、冤罪問題が出て、又、時効廃止が異例の速さで決定された。人を裁くというのは何と難しいことだろう。日本での裁判は「見せしめ」論に加えて、「自白しなかった」つまり「謝らなかった」こと…

【第19回】 一番下の行(ぎょう)は何だ?

2010年03月29日 ボトムライン。添付出典:Marketbusinessnews ボトムライン。添付出典:Marketbusinessnews 「みどりは天才なんかではありません」、「小さい時から毎日何時間も練習してきたのです。練習したからこそなのです」。こう話してくれたのは「世界…

【第18回】 Account:誰でも知ってる厳粛な言葉

2010年02月26日 誰でも知ってて、極く普通に使ってる英語が実は日本語に訳しきれない、つまり、それほど深い意味を持ってるという例がある。その代表は何と言っても「Account」。日本人ならまず、計算(書)、勘定(書)、(銀行)口座と答えるビジネス上の…

【第17回】 Orchestrationこそ企業経営の理想

2010年01月27日 オーケストラOrchestraとは言うまでもなく管弦楽団。管、絃、(そして打)と様々な役割をもったParts(部品)=Instrument(楽器)=がConductorの指揮のもと、Symphony「交響曲」を奏でる(sounding together)様はまさに企業・組織経営の理…

【第16回】 「How Much」と呼んでくれ

2010年01月06日 ビジネス上も含めて、見知らぬ初対面の人と会うときに名前をなのり、どう自己紹介をするかはとても大事である。 Call me Ishmael. 「イシュマエルと呼んでくれ」ハーマン・メルビルの長編小説、「白鯨」Moby-Dick (1851)のまさに冒頭の語り…

【第15回】 あなたにとってCallingは何か?

2009年11月25日 "Old Black Joe" by Stephen Foster 野球で、得点大差あるいは天候などで途中中止になるのをコールド・ゲームという。Cold(凍る?)という意味かと思ったらさにあらず、(審判による)Call=中止宣言だ。The ball game(=野球) has been c…