浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第24回】 色々なParty


2010年11月01日

 

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Boston Tea Party=ボストン茶会事件

世界史で習ったところによると、イギリス政府の課した紅茶税金(Tea Act)に反発した市民が、1773年、ボストン港に停泊中の運搬船を襲撃、満載の茶箱を海中に投げ捨て、それが二年後の独立戦争の先駆けになったとある。
では、Tea Party=お茶会でもやったのか? 何だか腑に落ちない。そこで辞書を引くとParty にはとは「騒乱」「騒ぎ」という米語の意味があり、従い正しくは単に「紅茶事件」と訳すべきであろう。

さて、米国におけるビジネス活動で大事なのはパーティーである。Associationという「業界団体」は自主性を重んじた「職能協会」とも言うべきNPOで、それぞれの専門動向や技術の報告が行われる。時には「転社(転職でなく)」の相談コーナーまであるから、驚く。
 その数四千とも言われるこのAssociationの年次総会の後はParty=懇親会である。
大体、全米の観光地でのことゆえ、一種の慰安旅行でもあるから楽しいはずだが、両手にグラスと食べ物を持ち、音楽バンドなど雑踏(失礼)を背景に初対面のアメリカ人と「英会話」というのは我々には難しい。仕事の話は何とかこなすとして、日常生活、文化・芸術となると大変。

日本の手引書では、こういったPartyでは政治の話はタブーということになってるが、実際にはしばしばParty=政党の話がでる。 政策論争Argumentは適切ではないが、the Democratic Donkey and the Republican Elephant、つまり二大政党のシンボル、ロバか象かなどは常識として知っておいたほうがよい。
実際、二大政党の基本姿勢はビジネス上も重要な影響がありうるので、頭に叩き込まねばならない。
オバマ大統領が率いる民主党(Democratic Party)は 伝統的に「大きな政府」のスローガンのもと政府主導の政策を実践。
ブッシュの率いる共和党(Republican Party)は "GOP"(Grand Old Party)と愛称されるが、企業の自由活動を主軸に「小さな政府」を志向、従い減税・規制緩和を重視。
日本の民主党DPJ=Democratic Party of Japan,自民党LDP=Liberal Democratic Partyだ。

Partyはビジネス実務で重要な契約書にも登場する。
First PartyとSecond Partyという二つの「当事者」によって調印されるが、
Third Party(第三者)がWitness(証人)としてサインすることもある。
他方、製造業やIT業界ではまた別の意味がある。
First Party=メーカー。Second Party=系列、そしてThird Partyは「純正品」に相対する意味である。

メーカー(First Party)が本来行うべきこと(Core Competence)以外の製造・計算や、メンテナンスサービスなどは、技術の専門集団であるThird Party(時にはインドなど海外)にアウトソーシング(外注)されることが多い。

以上に見るごとく、一口にPartyといっても「懇親会」、「政党」、「当事者」、「騒ぎ」とあり、色々だ。因みにparty-coloredとは「色々」を意味する。

(社)日本在外企業協会 「グローバル経営」より転載・加筆

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