日米友好の風物詩、米国首都ワシントンDCで開催される桜祭りCherry Blossom Festival。
今2024年は3月20日~4月14日。2,000本の桜が開花し、150万人の人出が見込まれる。
1912年、当時のTaft大統領に東京市(尾崎行雄市長)から贈った桜は今や、ポトマック河畔はじめ全米各地に日米友好の印として広がっている。
参照:【第202回】 桜に見る「日米友好」 - 浜地道雄の「異目異耳」
そしてその3年後、1915年。「返礼」としてDog Woodハナミズキ40本が東京市に送られた。ハナミズキの花言葉は「返礼」だ。
参照:【第306回】 Juneの花 - 浜地道雄の「異目異耳」
うち、2本が1908年創立という東京都立園芸高Tokyo Metropolitan Engei High School(世田谷区)に植えられた。
が、うち一本は100余年を経て枯れ果て、他所の原木も同様で、この老木が「日米友好の証し」としてひとり現存している。同木を、現下、同校が手厚く保護・維持に努めている様子には感心させられる。
2015年4月10日、その寄贈100年記念式にはキャロライン・ケネディー駐日米大使(当時)が参加してこの老木を讃え、ねぎらい、そして、日米交流財団(ワシントン)から新しい苗26本が贈呈され、植樹した。
駐日米国大使館の公式マガジンであるAmerican View2016年8月1日号に記載の同大使の日本の園芸(盆栽)にかける思いに触れた記事にはこうある。
the lone survivor of the 1915 dogwoods along with the new sapling that was planted by Ambassador Kennedy in 2015
Lone Survivor 孤軍頑張ってる!
同校の説明では「本来、寿命は80年くらい。満開に咲かせると、養分を開花に奪われすぎて、枯れ死する確率が増える」とのこと。
この超老木は力を振り絞るわけであり、自分の寿命を縮めてでも花を咲かせる。何だか使命感に満ちた人間の生きざまのようでもあり、涙ぐましいライフストーリーだ。
外電によれば、岸田文雄首相はバイデン米大統領に「国賓」として招待され、4月11日には米議会で演説とのこと。
声明によるとその趣旨はpeace and prosperity、promotes democracy, security, and stabilityであり、まさに110年目の先達と想いを一にする。
当日は「桜祭り」の真っ最中であり、両首脳会談においてもこの100余年にわたる「花の日米平和外交」という原点に触れるであろう。
ウクライナ・ロシア、パレスチナ・イスラエルをはじめ、混迷の世界情勢。「花の日米友好関係」を軸に基本的な平和外交が期待される。
関連拙稿:
【第349回】 日米友好:ハナミズキDogwoodと二子玉川 - 浜地道雄の「異目異耳」
【第343回】 バイデン・岸田会談に想う ~ 花が取り持つ「日米友好」 - 浜地道雄の「異目異耳」
関連URL:
JOEA「月刊グローバル経営」2024年4月号 拙稿Global Business English File第101回より転載、加筆。