4月には首都ワシントン、ポトマック河畔でにぎわう日米友好の象徴、桜祭り。1912年、時の東京市長尾崎行雄らが寄贈したのがいまや全米に広がっている。
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そして5月のDogwood (ハナミズキ)。ポトマックの桜に対する返礼として1915年、William Taft大統領から日本に送られたハナミズキ。その花言葉は「返礼」。日本の各地に咲く。私事ながら1992年我が家で初めての「憧れのアメリカ(NYC)」駐在をDogwoodが迎えてくれたうれしさは忘れられない。
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その泡紅色のDogwoodが6月に入ると一斉に白いChinese Dog Wood(Cosnus Kousaヤマボウシ)に変わり、異なる美しさに街並みが変化する。
その花びらのような弁が十字のため、教会などでは盛んに飾られる。某年、長女の花嫁姿は映えていた。
そう、そこでの主人公はJune Bride「六月の花嫁」だ。 さて、そのJuneとは何か? その語源を手繰ってみよう。
英語(外国語)を勉強しその語源を手繰る時、しばしば「ラテン語」に行き当たる。そしてそれは歴史的な治政、文化(宗教)の知識が得られ感心し、役立つ。
まずビジネスでも日常生活でも重要な暦Calendar。それは「日付が書かれた帳簿(calendarium)」がこの単語のコアの語源と知り、なるほどと感心させられる。
中期英語 kalender(カレンダー)⇒ 古期フランス語 calendier(一覧表、登録簿)⇒ ラテン語 calendarium(会計帳簿)⇒ ラテン語 calendae(古代ローマ暦の月の最初の日、税金の支払やお金の貸し借りの清算日)+-arium(物事が保存される場所)⇒ ラテン語 calo(呼ぶ、呼び出す、招集する)⇒ 印欧語根 kelh-(呼ぶ)が語源。英語 council(議会)と同じ語源をもつ。
そして、1月から12月、それぞれ興味深いがさて、6月はJune。日本ではしばしば使われるJune Bride。6月の花嫁(花婿はBridegroom)。ローマのJunoユノ女神、Jupiter神の妻だ。
が、そこで小さな疑問が生じる。日本では6月は梅雨。雨天の日が多い。かつ、6月は一年12か月のうち、唯一祝祭日が無い月だ。なぜ、そんな月の結婚(式)がハイライトを浴びるのだろう。
調べるとやはりラテン語。JuneとはJupiter (木星)の妻だ。
ということで、日本ではやはり結婚ビジネスが西洋の風習を取りいれて日本流の活性化を図ったものらしい。
確かに中東圏で呼ばれた結婚式(といっても男女は部屋を別にしての集まりだった)、必ずしもJuneに特別の意味を持ってないということを聞いて確かめた。(もっとも、近年、狭くなった世界のせいで、若い世代に変化が起きてるかもしれないが)
とまれ、日本はコロナ禍の影響もあり、「少子化」が進んでいる。2020年時点で1億2615人だった人口が2070年にはおよそ8700人。つまり、あと半世紀で4000万人減となる。(国立社会保険・人口問題研究所発表)。これは深刻だ。
雨のシーズンだが、June Bride/Bridegroomはじめ、未来を背負うカップルの健やかなFamily形成に幸あれ!
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(一社)在外企業協会、「月刊グローバル経営」2023年6月号拙稿Global Business English File 97回より転載、加筆