浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

「月刊グローバル経営」掲載

【第114回】Lay Down Your Arms 〜 A・ノーベルの意志

2018年11月1日 筆者愛用のSuttner夫人の襟章 ノーベル賞の原点・現場を知るべく、7月、オスロとストックホルム訪問を決行した。晴れ渡った空と海。高めの温度もカラっとして爽快だ。古い町並み、由緒ある建造物。手入れが行き届き、現代にたくましく存在して…

【第113回】真夜中まであと TWO MINUTES 〜 真撃な警告

2018年9月1日 「現存で最高の知識人」と称されるChomsky教授の講演 時は本年5月12日。場所はNYCのミッド・マンハッタン。卒業式のシーズンとあって近所のNYUの卒業生が紫色の Cap & Gown姿 (正装) で記念写真を撮っている。米国では卒業式は「Commencement =…

【第112回】深遠なることば ECUMENISM

2018年6月1日 ICAN事務局長 Beatrice Fihn 女史と筆者 ノーベル平和賞2017は ICAN (International Campaign to Abolish Nuclear Weapons) に与えられた。I canとは覚えやすい絶妙のネーミング。 07年にオーストラリアで発足した国際NGOネットワークで、世界1…

【第110回】Singularity:人類の未来を示唆する深遠なことば

2018年1月1日 Singularity University ロゴ 元旦。「旦」とは、地平線からの日の出を表す象形文字。我々日本人にとっては先祖から伝わる文化的喜びだ。 他方、世界には1月1日を必ずしも祝わない文化も多々あり、中東、米国、インドなどでの駐在、出張時にそ…

【第109回】ハンバーガー連想 〜White Castle から White Houseへ〜

2017年11月1日 White Castle ハンバーガー White Castle “White Castle”とは、米国で(すなわち、世界で)最老舗のハンバーガーチェーンだ。「白い城」の名の通り、店構えは城の形をしている。1921年、カンザス州ウイチタでの創業。(紙包でなく)箱入りで、…

【第106回】Trump 米大統領は trump できるのか?

2017年6月1日 全米プロレス協会 (Stamford, CT) わが家にとって一大転機だった1992年5月1日は2度あった。 つまり、転勤。男女4人の子どもを連れて同日成田を発ち、(時差の関係で)同日、「あこがれのアメリカ」NJ州のニューアーク飛行場に降り立った。そこで…

【第97回】 アルバニアを生きる 〜 IkonomiとEconomy

2015年9月1日 「現代の鎖国アルバニア」 かつて、JICA(国際協力機構)の「国際交流」プログラムで来日した若い女性に出会ったことがある。アルバニアから来たとのこと。アルバニア!?バルカンの火薬庫」だ。あの共産主義独裁者のホッジャの国だ。その女性の…

【第96回】 EF 〜 世界最大級のグローバル教育校

2017年9月1日 EF New York NY。喧騒のマンハッタンのグランドセントラル駅から北に向けての電車 Metro - North Hudson 線はハドソン川をスレスレに沿いながら北上、まるで観光・遊覧旅行のようだ。といっても40 分、すなわち通勤圏内であるが、由緒あるTarry…

【第90回】 魅力の「ナショ・ジェオ」

2017年01月10日 アフガニスタンの少女(出典:National Geographic) 今は昔のことだが、月刊「National Geographic:通称ナショ・ジェオ」誌を知って感動したのは忘れられないー。場所は中東アラビア。 石油担当商社マンとしてサウディ・アラビアに駐在時、…

【第88回】 米大統領選に異文化Showを見る

2016年11月08日 英語) 浜地道雄・浜地絵里 (著) ヒラリー・クリントン候補の健康問題はともかく、ドナルド・トランプ候補の暴言の数々は従来のアメリカの規範、PC(Political Correctness)からすると考えられない現象だ。そのTV討論会などを見ているとまるでP…

【第86回】 「国際NGO」のTie

2016年09月20日 国際NGOのTie 米国で商用インターネットが始まったのは1988年。「情報時代」の夜明けに転職した筆者にとってのビジネス原点はデータベース=DB(DataBase)、即ち、コンピュータによる諸資料の管理・運用だった。 赴任先NYCでの思い出深い仕…

【第84回】 JETに想う 人のつながり

2016年07月19日 「ああ、日本っていいなあ」と思う場の一つが温泉だ。 それも都心に温泉銭湯(public bathhouse)があり、時に訪れリラックスする。湯がコーヒーのような褐色で本当に温泉なのだろうと悦にいってる。 某日、どうしたことか、そこに金髪碧眼、ま…

【第81回】 「バーカー」の愉しみ

2016年04月25日 出典: NY Times via Trainjotting さあ、緊張の一日、仕事が終わった。「お疲れ様」と、これは中々英語にしにくいがまあ一応Good work we did! そこで、ちょっと近所で一杯といきたいところだが、ここはNYCのマンハッタン。Japanese-Style B…

【第78回】 新年に思う接頭辞「A」

2016年01月13日 New Year! 新しい年の始まりだ。新約聖書によると「始めに言葉ありき In the beginning was the Word」(ヨハネ伝John 1:1)。ということで、本稿もことばの確認から始めよう。 そもそもと改めて考えると、1月は年の最初(First)の月なのか?…

【第77回】 Globish® + ESP = 仕事で使える英語

2015年12月01日 1500語で通じる非ネイティブ英語 グロービッシュ入門 某年某日、所用で都内のあるオフィスビルを訪ねた。その際、ロビーで「Globishセミナー」というポスターが気になった。何かと思って会場を訪ねると、「Global + English=Globish」で、即…

【第76回】 大雑把なBall Park Figure

2015年11月16日 多々ある球技(Ball Game)でも、米国でBall Gameというと野球(Base Ball)を指す。 その野球場(Ball Park)での応援は、日本でのように太鼓にラッパで大音響をということはなく、大事な場面では、万の客がシーンとなり、返って緊張感が増す…

【第75回】 「番外編」イスラムを知らずして世界は語れない

2015年09月02日 何故英語(ことば)を学ぶのか?「異文化理解の為」。その異文化のうち、日本人にはなじみがなく、他方、世界人口の1/5以上とも言われるイスラム教を検証してみた。 はじめに: 「コーラン」井筒俊彦 (岩波文庫) 「9・11事件を予見した」と…

【第74回】 Proactive考 〜 安倍首相の米議会演説に見る「意図的誤訳」

2015年06月08日 ヘンデルのオラトリオ「メサイアMessiah救世主」は歌詞が英語(古語)ゆえ、勉強になる。聖書The Book of Common Prayerからの聖句をなぞっての壮大な音楽の流れは感動的だ。 ヘンデル「メサイヤ」 Wikipediaより その第二部最終の「ハレルヤ…

【第73回】 Speak-up ⇒ Engineering (創造)

2015年05月14日 日本経済新聞社の朝刊連載コラム「私の履歴書」は、各界で名を挙げ功をなした人の赤裸々な個人情報も含む文字通りのPersonal History個人史だし、résumé(仏)或いはいわゆるC.V.ラテン語のCurriculum Vitae人生の物語だ。 本年2月に連載の重…

【第70回】 「First Name」で呼び合える仲?

2015年02月06日 ハンガリーの墓碑(Wikipediaより) 今は昔、よき時代(?)のイラク、長期出張中のバグダッドのホテルでハンガリー青年歌舞団と一緒だった。当時の社会主義国間での文化交流だったのだろう。 持参してたクラリネットで合奏したり、英語は通…

【第69回】 英語ができるようになった瞬間!?

2015年01月15日 ウドウロク by 有働 由美子。詳細はこちら。 有働由美子さん。言わずとしれたNHKの人気アナウンサーだ。その有働さんが初めて本「ウドウロク」(新潮社)を出したというので早速読んでみた。45年(と自分で書いてる)の人生での特記事項は3年…

【第67回】 PeaceとPacifist 〜 ビジネスも平和が前提

2014年11月28日 ノーベル賞 10月10日、ノーベル賞平和賞が発表された。日本の報道では賛同一色だが、元々、「子供たちを救う・人権」はA.ノーベルの遺志には入ってないゆえ、多分に政治的考慮(パキスタン・インド)だと、異論は少なくない。 筆者は、石油担…

【第66回】 「イギリス」という国は存在しない?!

2014年09月17日 United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland 名は体を表すNames and natures do often agree。ビジネス上「相手を知る」のはだいじだが、ことに国名は治政・歴史に直結し、興味深い。記憶に新しいFIFA(Federation International …

【第65回】 「East is East」か「East is West」か?

2014年08月20日 エフェソスとイズミールの位置 神秘的な黒海の周辺は複雑な治政の交差地だ。北側はクリミアを含むウクライナで、ソチ冬季五輪以後、思わぬ紛争に発展していった。そして、南側はトルコ。違う様相で異文化が絡み合う。黒海の出口、イスタンブ…

【第64回】 パルムの焼印(Brand)

2014年07月01日 パルムの焼印 「赤字か黒字か」はビジネスにとって究極の課題だが、フランスの文豪スタンダールの小説「赤と黒」は野心に満ちた青年の悲劇。赤は軍服、黒が法衣という当時の社会情勢のシンボル化Metaphorだ。これはまだわかり易いが、同じス…

【第63回】 Flowerの華々しいグローバル化

2014年05月28日 Rose Scepter'd Isle バラ セプタードアイル by T.Kiya, on Flickr 米国は車社会だ。そこで質問:「米国の国花は?」。こういうRiddle(なぞかけ)は、英語力に直結しており、我々Non-Nativeには中々難しい。が、Car-Nationと答えられれば上…

【第61回】 ソチはどこじゃ? 〜 黒海を巡りODESSAに至る

2014年04月07日 ソチの地図:日刊スポーツから転送。 世界に「色」のついた海、紅海、黄海、白海などあるが、黒海ほどその名に相応しい海はなかろう。そのほとりに立つと、確かに黒く深いという印象。と同時に多様な文化・文明が歴史上絡み合って、まるでBla…

【第58回】 新年 〜 馬脚を表わさないように

2014年01月30日 出典:bizocean 2014年の幕開け。平成26年、干支(えと)は「午(うま)」だ。「牛とどう違うのか?」と駐日サウディ・アラビア大使(早稲田大学卒、日本語堪能)に聞かれた。「うん、角(つの)が無いのだ」と答えたが、納得してもらえたか…

【第56回】 What is スジャータ? 〜 インド人がびっくり

2013年12月03日 画像:スジャータの乳粥(ちちがゆ)。出典:いたたた・・タイ 某年、場所はインドのボンベイ(今のムンバイ)。日本の財界大物が来印、同地の商工会で歓迎会が開かれた。挨拶に立った同氏がこう始めた。「このお釈迦様の国。仏教の国に来れ…

【第53回】 BulbのBubble

2013年08月02日 スレイマン1世 (Wikipediaより) 1620年代、オランダ人が米東海岸マンハッタンに植民拠点を建設開始、今は黒人文化の拠点となってる地区をHarlemと名づけた。その「本家」はHaarlemだ。(トルコ語の「後宮」はHarem)。首都アムステルダムから…