浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第323回】わたしがブログを書く理由

齢(よわい)80、我ながら驚き!「傘寿」というらしい。

「バイデン米大統領より(二か月)若い」と強気ぶっても仕方がない。自然体でいこう。健康状態もまあまあだし、男女四人の子供もそれぞれよき伴侶を得、孫たちの成長ぶりに驚嘆している毎日だ。

ビジネス一筋で、石油担当商社マンとして、中東駐在、出張。はたまた情報産業に転職後の米国ニューヨーク市での駐在は2001年911同時多発テロなど緊張感はあったが素晴らしい生活体感だった。いずれも貴重な異文化経験。

そして引退の今、悠々自適の生活ともいえる。が、同時にこの混乱の世相を見ていると躁鬱症(軽いが~笑)が生じている。

個人生活においては、青春時代を過ごした都内多摩川河畔の小さな住まいに居を移し、家内と二人でSmall Is Beautiful生活だ。日々、下町や近所の散歩(即ち、徘徊)し、ノスタルジック・シンドロームを楽しんでいる。疲れれば、下戸の妻にも付き合ってもらい近隣の居酒屋でのB級グルメを味わう至福感。そうだ、年末には金婚式ということで初めての豪華クルーズ!

他方、ふと目をやると、コロナ・パニック、ロシア・ウクライナ紛争、はたまた(旧)統一教会問題と、次々に心の痛む問題がメディアを賑わしている。さらには生成AI=chatGPTと世を挙げての大課題だ。

まさに、A.トフラーが予言した情報洪水、情報過多の世相だ(1970年「未来の衝撃)。

私見では、これらはすべて「グローバル」という括りのなかで論議されるべきことであり、即ち、世界を歩いてきた元商社マンの「ジージ」にとっては、一言(ひとこと)も二言(ふたこと)も発したい強い思いに駆られる。

そこで、次女に相談するとHATENABlogがあるとのこと。その指導を受けながら慣れぬ手つきで連載を開始した。2020年6月。題して「異目異耳」。

情報化時代とあって溢れかえる情報を「異なる目」で見直し、「異なる耳」で聞き直そう試みだ。

その根は異文化理解。「『お互い異なるのだ』と理解する」という筆者の長年の主張である。

文化とは生まれてこのかた、父母から愛情をもって育まれ、長じてからの教育で生成された心の状態だ。典型的には即ち宗教。日本人にとって極めて不得手な異文化(異宗教)共生。

機会があり、大学生に「異文化共生」の講座を担当。「ダルビッシュとは誰だ?」から始めた。もちろん野球選手というのは全員が答えられる。では「その意味は?」という問いに答えられる学生は皆無だ。ダルビッシュ選手のファースト・ネームは? 「有(Yu)」と即答がある。その通り、有とは即ち有(あ)る=Aliアリである。イスラムシーア派の開祖の名だ。そして「Darvishとはイラン・トルコを地盤とするイスラム教の一派」だと解説。ここで学生のすべてが「え、そうなんだ!」「異文化(宗教)が共生してる!」と感嘆の声があがる。

【第92回】ダルビッシュって誰? - 浜地道雄の「異目異耳」

さて、最近年の世情大混乱は「コロナ・パニック」。2020年初頭、その始まりのメディア報道・解説は「殺人伝染病」危機と煽ったわけで、その恐怖感が今なお心の中に潜在的に残ってる市民はいる。だが、ごくごく冷静に「(陽性、感染でなく)死亡者数」を見ると日本では奇跡的に少ない。

経済学シカゴ学派碩学F.ナイトは「不確実性論、リスク」(1921)で,エビデンス=確証のない推測は『お化けがいつ出るか』という恐怖感を煽る」と喝破している。正しく統計をみることにより「リスクはコントロールできる」という理論は即ち近代保険ビジネスの基礎(アクチュアリー)である。

【第205回】 新型コロナは本当に怖いのか ~ COVID19で想うFナイトの「不確実性」論 - 浜地道雄の「異目異耳」

同時に又「この世にリスク・ゼロはないし、同じくコロナ・ゼロもない」という哲学上の論考をも紹介した。人生、リスクを承知で「しなやかに生き抜こう」という提案である。

【第216回】 五輪実施 ~ コロナを正しく知り、正しく恐れる - 浜地道雄の「異目異耳」

そして、続く混乱は「ロシア・ウクライナ紛争」。日本における圧倒的報道解説は「ロシア悪、ウクライナ可哀そう」ということで日本は米国にフォローし、結果「武器供与」を推進している。これでは停戦に結びつかない。

しかるべく「世界歴史、治政」をレビューすれば、この紛争は勝(すぐ)れて「宗教紛争であることが理解できる。この点で、日本には出る幕はなく、すべきは「戦争放棄をした憲法九条」を盾に、ひたすらの「和平仲介」の外交努力である。

【第254回」 ロシア・ウクライナ紛争は勝(すぐ)れて宗教紛争 - 浜地道雄の「異目異耳」

そして突如旋風がまい始めたchat GPT。長く情報産業に身を置く身としては、この「非常に便利なツール」に潜む3つの危険性、「著作権問題」「情報漏洩問題」そして「(いかにもそれらしく見える)偽情報問題」への注意を喚起しないわけにはいかない。

かくして、過去書き溜めたものの転載加筆も加え、HATENAblog拙稿「異目異耳」が320号を越えた。

【第320回】AIを駆使・管理するのはHI=人間の知力 - 浜地道雄の「異目異耳」

さあ、日本人の男子平均年齢は81歳とのことゆえ、それよりすれば小生ゴールまであと少しゆとりがあるようだ。

今暫し、HATENABlogを通じて世に「正常化」を訴えていこう。

「裸の王様を見破った少年」のように素直で純粋な目、耳、心をもって、「次の世代」のためにー。