読売新聞。言うまでもなく世界最大の日刊紙だ。
その3月25日(土)朝刊のトップ見出しに驚いた:ウクライナ大統領単独会見:復興「日本が主導を」だーー。
そして何と全8ページに亘り、ウクライナ支援の特集だ。
じっくり目を通したが、「宗教(コンスタンティノープル総主教、ロシア正教、ウクライナ正教)」についての記述は一言もない。
ロシア・ウクライナ紛争の根は勝れて「宗教紛争」であるというのに。
松本道弘氏とConstantinopleで語りあった「言葉と文化(宗教)」~ロシア・ウクライナ紛争に想う | ISF独立言論フォーラム
その直前、3月21日、岸田首相はウクライナを電撃訪問したとのこと。これも驚き!
「戦勝しゃもじ」を土産に、一時間ゼレンスキー大統領と会談し、55億ドル(約7370億円)「支援」の約束、併せて、5月の広島G’会議に招待しとのこと。
いったい、この読売の一大記事は、それに「忖度」をしたのであろうか。
岸田首相はモディ首相との会談のインド訪問から「抜け出して」ウクライナを訪問したとのことだ。
さて、その可否を論じるにあたり、同じく読売新聞、3月21日朝刊「イラク開戦20年特集(上)米の威信低下、中国台頭…欧州と亀裂 露侵略の復旋」にある政治哲学者、フランシス・フクヤマ氏のインタビュー記事は重要だ。
・イラク戦争は非常に愚かだった
・イラク戦争は米国の信頼性を大きく損ねた
・現在、「グローバル・サウス」の多くの国がウクライナを支持していないのはイラク戦争を関係がある
(ちなみに同紙3月24日「イラク開戦(下)」は「破壊兵器 見つからず 米情報史最大の悲劇だ」)
言うまでもなくインドは「グローバル・サウス」の主要メンバーである。
はてさて、岸田首相はウクライナ電撃訪問にあたり、モディ首相とこのことを語り合ったのだろうか。はたまた、「異文化(宗教)の衝突」について思慮したのだろうか。
また、G7のメンバーはまたNATO(=軍事同盟)のメンバーだ。だが、憲法九条を擁する唯一の被爆国日本はもちろんNATOのメンバーではない。
【第262回】 (「コロナ」と)「ウクライナ/NATO」を検証Fact Checkする - 浜地道雄の「異目異耳」
さあ、今改めて、日本の立場、外交姿勢を真摯に検討せねばならない。
関連拙稿:
【第294回】イラク侵攻から20年 ~ 風化させてはならない - 浜地道雄の「異目異耳」
尚、このFフクヤマ氏の折しもの近刊、「リベラリズムへの不満」は近年の「アメリカの世界における位置」について示唆に富む。
フランシス・フクヤマ、会田弘継/訳 『リベラリズムへの不満』 | 新潮社
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