浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第205回】 新型コロナは本当に怖いのか  ~ COVID19で想うFナイトの「不確実性」論

 

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F.ナイト 「リスク、不確実性および利潤」1921

初めに結論を: 

奇跡的に少ない日本の死亡者(数)。しかるになぜワイドショーをはじめ、毎日毎日、「感染、感染、感染」と恐怖を茶の間に注ぎこむのだろうか。

PCR)検査 ≠ 陽性 ≠ 感染 ≠ 発病 ≠ 重症 ≠ 死亡  、 と「不連続」であるにもかかわらずーー。 

http://jicl.jp/hitokoto/backnumber/20200810.html               拙稿:コロナは本当に怖いのか? ~ナイトの「不確実性論」から見る (法学館憲法研究所「今週の一言」2020年8月10日)

 新型コロナ・ウイルスNovel Corona Virus Disease 19が世界を恐怖に陥れ、ビジネスや教育をはじめ社会システムを崩壊に導いている。

そこで使われている英語には成程と思うのもある反面、疑問なしとせずもあり、点検してみよう。

まず、Novelとは通常「小説」と理解されるが、実は「新奇」の意、成程。Pandemicとはギリシャ語Pan「全て」+ dēmos「人々」が語源。他方、Overshootとは的を越える。金融市場などで用いられるが「感染爆発」とは直結しない。又、Lock Downは本来「鍵で閉じ込める」であり、「都市封鎖」という意味にはならない。

Quarantine検疫、これが興味深い。イタリア語のquarantena=40日間が語源。疫病が東からくるので、当時の海外貿易の中心ヴェネチアでは潜伏期間を考えて40日間疑わしい船を強制的に停泊させたという法律。

 同様に古い紀元をもつ重要語triage。罹災者を三段階tri-に分けて治療する。福祉国家で知られるスエーデンは元々「延命治療」をしないということで、今回高齢死亡者の数が多い。

 さて、あまりメディアには登場しないが、今回の「騒動」を巡って内外多くの識者とのやりとりで盛んに聞かれる重要単語はUncertainty不確実性。ビジネスマンは注目すべきことばだ。例えば、先物(さきもの)とはFutures。まさに「未来」を指す。相場観といえばforecast (for the market tendency)=「予想」で、要するにuncertain (不確実)だ。

 これを経済学で有名なシカゴ大学教授フランク・ナイトFrank Hyneman Knight(1885 - 1972)その著書『Risk, Uncertainty and Profit(危険・不確実性および利潤)』(1921)で確率によって予測できる「リスク」と、確率的事象ではない「不確実性」とを明確に区別した。

 筆者の解釈を含めて言えば、そこには3つの段階がある。        

一つ目はある状態を特定したり分類することが不可能な「推定」。「お化けが出てくるごとく」恐怖が恐怖を呼ぶ。 

二つ目は例えば「2つのサイコロを同時に投げるとき、目の和が7になる確率」というように、数学的な組み合わせ理論に基づく先験的確率。

そして三つ目は例えば男女別・年齢別の平均余命、或いは(自動車)事故のように経験データに基づく「統計的確率」である。

 その確率(エビデンス・根拠)がわかると「(予知でき、対策も考えられる)リスク」となる。ここから、先物相場、保険、株式・不動産投資などをはじめ、各種ビジネスが発生し、利益が得られる、というもの。

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「1997年ー世界を変えた金融危機」:竹森俊平、朝日新書

更に、「企業家」のもっとも本質的な行動は「新しいこと」への挑戦、「不確実性」と真正面から対決するのである。そしてそれに対しての報酬として、「利潤」を手に入れる。

 *出所『1997年―世界を変えた金融危機』:竹森俊平、朝日新書 p88       1997年、北海道拓殖銀行山一證券が倒産し、アジア通貨危機がおこった。本書では、その時、IMF国際通貨基金)や世界の国々がとった対応を詳記し、その背景にある「ナイトの不確実性」を説明している。 

*同書は極めて精緻かつ示唆にとむ経済論だが、加えて、2020年3月20日付け日本経済新聞「大磯小磯」では、新型コロナ発生により金融資本市場に生じた激震について「今回の本質は、お化けが飛び出すかのような怖さ、目に見えず実態が分からないことへの不安」、即ち「ナイトの不確実性」と説明している。 

今回の「コロナ禍」について「感染者数」ではなく、人口10万人あたりの死亡者数を見ると、日本は0.38人と奇跡的に少ない。因みに、スペイン52.87人、イタリア47.82人、英国42.76人、スエーデン26.25人、米国20.63人 - -。(コッホ研究所や東洋経済などのデータから纏めたという在ベルリンDr, Frank Broseの情報。5月3日付け)

 これらを総じれば、ナイトのいうエビデンス(統計数値)によるリスク。即ち、対応が可能ということになる。

 神ならぬ身の知る由もなし、一寸先はわからない。が、ヘミングウェイのことばを噛みしめながら「正しく恐れよう」。Courage is grace under pressure.

 (了) (一社)在外企業協会 「月刊グローバル経営」2020年6月号より転載・加筆 

 

関連拙稿: 

・NET IB News (DataMax社): 数字、定義、根拠不足の新型コロナウイルス報道「お化けの恐怖」に振り回される日本 (2020年4月21日)

https://www.data-max.co.jp/article/35358 

・関連性の教育学会EPA「正しく恐れて」コロナ・パニックを乗り越えよう~グローバル時代の若き世代ために  (2020年4月17日)https://epajapan.jimdofree.com/note-2/a/ 

同稿に記した東洋経済社のグラフ「年代別の死者数」は重要参考https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/  https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/en.html (英語) 

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日本における死因順位2019

又、「日本における死因順位2019」(寺島実郎日本総研会長報告書より)が、インフルエンザによる死亡者数3,575人と証左を記している。他方、種々報道解説ではコロナ死亡者数を(年別ではなく)累計で表示しているが(9,350人、2021年4月10日)、これではApple to Apple正当な比較とはならない。