浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第245回】再主張:コロナは本当に怖いのか? ~ Fナイトの「不確実性論」から

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奇跡的に少ない日本のコロナ死亡者数・率 (NYT)

コロナ・パニックが発生してから丸二年。 

筆者はずっと「コロナは本当に怖いのか?」「正しく恐れよう」と主張してきたがその原点はF. ナイトの「不確実性論」(1921)だ。

個人的解釈も含めて言えば、「エビデンス(証左)のない推測は『お化けがいつ出るか』という恐怖を煽る」ということだが、そこでの証左とは感染ではなく「死亡数」である。 

世界的に見て、日本での死亡数(率)は奇跡的に少ない(添付:New York Times)。

しかるになぜワイドショーをはじめ、毎日毎日、「感染、感染、感染」と恐怖を茶の間に注ぎこむのだろうか。 

検査 ≠ 陽性 ≠ 感染 ≠ 発病 ≠ 重症 ≠ 死亡 、と「不連続」であるにもかかわらずーー。

【第205回】 新型コロナは本当に怖いのか ~ COVID19で想うFナイトの「不確実性」論 - 浜地道雄の「異目異耳」

 科学には「自然科学(医療)」と「社会(経済)科学」があるのだが、このパニックにあって、科学的論考、検証がなされてない。「分科会」には尾身会長以外にも「経済・社会学専門家」もいる。が、なぜか、その意見は聞こえてこない。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/pdf/meibo-corona.pdf

 

そんな折、獨協大学黒木亮准教授の緻密な論考に接し、励まされた。

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「ナイトのリスク・不確実性およびインフォデミックな不確定性 -「第三の不確実性」抽出試論。獨協大学学術リポジトリ:2022年1月21日 コンテンツ追加 紀要:『獨協経済』110号-111号。 

実に精緻な経済研究論文だが、そこにコロナパニックという視点から教示されることが多々ある。そこからビジネス一辺倒、即ち門外漢の筆者(浜地)の主観に基づき、いくつか重要事項を引用・解釈をする(順不同): 

・まずは何と言っても表題のインフォデミック。

マスメディアだけでなく、SNSどを通じ、正しい情報と不確かな情報が混じり合って拡散し混乱が増幅するインフォデミック。これは、WHO(世界保健機関が、information(情報)と pandemic(世界的な伝染病の蔓延)を合成して生み出した造語だ。各種の疑惑や真偽の不確かな情報が新型コロナ・ウィルスと同様か、それ以上のスピードで伝播していく事態に危機感を抱いて自みずからかたり始めた新語。 

・良く知られている「Black Swan ブラック・スワン黒い白鳥」。極めて稀な現象か想定外の事態ゆえ、その出現や発生によって世が騒然となる金融危機のような事象。

・又、いわゆる「灰色のサイ」―普段はおとなしいが暴れ出すと手が付けられない白サイやもともと獰猛とされる黒サイのように、危険な大問題に転じる可能性。 

・そして「お化けがいつ出るか?」という恐怖感と共通する“藪蛇”にも似た「半端な不確実性」。ここでは「赤黒い金魚」という判断に迷う場面を仮定している。

一方は黒みがかった水槽にリスクという赤い金魚が無数に泳いでる。他方、赤みがかった水槽では、アンサートゥンティという黒い金魚が無数に泳いでいる。                        この場合、見る位置や角度によっては、金魚が果たしてリスクなのか、アンサートゥンティなのか、どうにも判別がつかない。 

要するに、判断を下す人間の立ち位置や見る角度、光の当たり具合や時間軸、見識や想像力の違い等々から、リスクかアンサートゥンティか判別がつかなくなってしまった結果として派生してくるような不確定性。「第三の不確実性」。 

第一の「既知のリスク」従来のコロナ・ウィルスや通常の債務不履行のリスク

第二の「未知の不確実性」新型コロナの感染症の拡大やそれによる各種の被害

第三の「半端な不確定性」新型コロナに関する不確定情報やその蔓延による不透明感

 ・また経済史を振り返って大恐慌の只中にあった1933年に、アメリのフランクリン・ローズベルト大統領が大統領就任演説で述べた「恐れるべきは恐怖そのものである」といった趣旨の言葉は、決して単なるレトリックや叱咤激励ではなく、問題の本質や核心の一部。

 以上、黒木准教授の論考そのものではなく、筆者(浜地)の主観による引用、解釈。(了)

現実に振り返ってみよう。改めて、コロナは本当に怖いのか? Fナイトの指摘する「エビデンス(証左・数値・統計)」は「日本における新型コロナ死亡者数(率)は奇跡的に少ない」ことを明示している。

【第240回】 突然浮上のオミクロン・パニック~感染恐怖 - 浜地道雄の「異目異耳」

現下、政府・厚生労働省は「2歳以上のこどもにマスクをー」議案や、また5-11歳の子供にワクチン接種に前向きであるとのこと。「コロナ前の暮しを取り戻そう市民の会」(筆者は発起人の一人)主催の「ワクチン接種を考えよう」シンポジウムが、横浜、大阪に続き、2月19日、札幌で開催される。

Symposium | 「コロナ前」の暮らしを取り戻そう! 市民の会声明 

 

「関連拙稿」:F.ナイトの「不確実性論」「コロナ」に言及した論考:

1)一ノ瀬正樹教授 (哲学)

【第216回】 五輪実施 ~ コロナを正しく知り、正しく恐れる - 浜地道雄の「異目異耳」

2)日本経済新聞

【第236回】注目すべき日経解説記事 ~ 迷走したコロナの科学 - 浜地道雄の「異目異耳」