(2012年11月21日 JANJAN)
パレスチナの独立記念日、11月15日、アバス議長(大統領)の招待による、青年の集まりに参加の市民グループに便乗して、夫婦でパレスチナ(及びイスラエル)を一週間訪問した。(11日成田発、イスタンブール、アンマン経由、陸路パレスチナの首都ラマーラ着。18日帰国)
いわゆる観光はともかくとして、(家内にも多くを言わず)胸に秘めた思いはアバス議長に「中東和平交渉を日本で」とアピールすることだった。
長く中東イスラム圏、及び転職後移住した米国(NY)での「異文化体感」から筆者は「世界を揺るがしてる中東問題の根はパレスチナ・イスラエル問題」であり「その仲介ができるのは日本」と強く思ってきた。日本は(宗教・文化的に)中立であり、経済大国であり、かつ、中東国においては、人々の人気があることは経験的に言える。
問題は、日本の為政者の外交力と意欲だが、岡田民主党代表(当時)は、2005年、中東を訪問、4月30日、パレスチナのアバス議長から、5月2日にはイスラエルのカツァブ大統領から「対話の用意がある」という重大な発言を引き出している。http://janjan.voicejapan.org/world/0507/0507049123/1.php
続く、5月16日、小泉当時首相(当時)も来日中のアバス議長から「イスラエルのシャロン首相との会談の機会があれば喜んで応じる」という言質を得てる。(残念なことにシャロン首相の6月予定の来日は延期となった)。
そのアバス議長は本年4月来日したが、野田首相はそこまでの言質を取るに至らなかったようだ。http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_noda/1204_plo.html
ということで、日本市民たる筆者としてはこの世界的大難関に平和解決の何等かの糸口を見いだせないかというドンキホーテ的発想をずっと温めてきた次第。
さて、アバス議長と面談可能性のあった11月15日、独立記念日の行事が、折しも発生したイスラエルによるガザ攻撃という非常事態で、キャンセルとなり、同議長との面談は果たせなかった。
しかし、その前々日、パレスチナ支援をしてきたアラブ諸国への感謝の会に出席が許され、サラーム・ファイヤードSalam Fayad首相(財務長官、元外務長官)に会い、又、その翌日は首相官邸に招かれての会談が実現した。
写真(いずれも筆者撮影)のインタビューア(英語)は同道した松本道弘氏。詳細記録は同氏から報告されようが、筆者が傍聴した範囲においては「中東和平交渉を日本で」という持ちかけには「Possible」と英語で明言された。
会談を終えて退出の同首相に、筆者が「See you in Tokyo for peace dialog.和平対話で東京でお会いしましょう」と念押しの挨拶をしたに対し、手を握っての同首相の即答は「インシャーラー」と心強かった。
因みに「インシャーラー」とは「アッラー神が望み給う通り」ということ。日本では時に「いい加減」と理解されるが、実際にイスラム圏で生活し、ビジネスをしてみると、ことが真剣であればあるほど、Surely、Definitelyと解することができる。(自分は確かにそのつもりだ。ただ、万一、不都合が出てきたら神の思し召しゆえ許してくれーー)
筆者のドンキホーテ的な思いは、日本での中東和平合意を西東管弦楽団が来日、祝ってくれること、と広がっていく。
【第182回】1999年ワイマール ~ 西東詩集管弦楽団 - 浜地道雄の「異目異耳」
さあ、本当に小さな小さな一石。どのように波紋を広げていくか?
まず、最初の関門はイスラエル側の同意・賛意をどう取り付けるか?
【ご意見板】11 件の書き込みがあります
浜地さんの一市民としての思いと行動に敬意を表します。
私自身は大して知識も無いのですが、立場としてはパレスチナ人の過酷な運命と不幸に深く同情しており、ささやかながら、月々”パレスチナ子供達キャンペーン”というNOPに献金をしているというものです。
浜地さんの思い入れが東京で花を咲かすことになれば、大変な市民外交ということになりますね。ただ私自身は悲観論者なのですが、クリントン大統領も両者の仲介に立って、ほぼ成功と言うところまで持ち込みましたが、結局身を結ぶことができませんでした。アメリカ大統領が試みてだめだったことが、果たして哲学と利害関係に欠ける日本人(日本政府)に出来るかというと大変心もとないと思ってしまいます。
なんといってもイスラエルの気持ち次第にかかってくると素人ながら思うのですが、絶対的な強者であるこの国が、果たして譲歩ということを出来るのかまたそれを国民が許すのかと思うと、どうしても悲観的に成ってしまいます。ちょうど北方領土の日本とロシアの関係に似て
(この場合ちょっと無理な比較ですが、ロシアがイスラエルで日本がパレスチナ)ロシアが動かなければ全く状況は変えられないという一方的な環境下での交渉と同じような状況となり、正直なところ、残念ながら悲観的に成らざるを得ません。要するにイスラエル次第だと思うのですが、果たして幾多の歴史と世界屈指の民族的選民意識を持つこの人々が
アラブ人に妥協するのか(そうあって欲しいですが)、浜地さんの一石がいい方向に向かえば
浜地さんもノーベル賞とわ言わないまでも(笑)、何らかの賞に繋がっても不思議ではないでしょう。いずれにしろ何らかの進展を期待しています。
小林 さん、
懇切なコメント、ありがとうございます。
複雑で難しい問題。整理するのが大変ですが、パレスチナとイスラエルは「共存・共栄」以外に道がない、というのが大前提。
そして、(短絡に過ぎますが)アメリカ≒イスラエルと考えると、わかり易いと思います。
私は嫌米派ではないのですが、素晴らしいアメリカにも陰の部分があります。
ブッシュ政権に始まる中東武力介入(=泥沼)がその最たるもの。
イスラエルのネタニアフ首相はその出自(米国育ち。MIT、ハーバード)からしても=アメリカ。それもロムニー候補に近い強硬派(別稿しましたが、私はロムニーでなかったことを歓迎してます)。
来年早々(1月22日=因みにオバマ再就任は1月20日)の(イスラエル)選挙を控えて、パレスチナ強硬派のハマス(ガザ地区支配)をテロ組織として、今回のガザ攻撃を打ち出してるわけです。
兎に角、両方の言い分を聞くことから和平交渉(仲介)を始めねばなりません。
ということで、日本という中立、経済大国に「やる気=外交意欲」があれば、仲介者になれる国だと「期待」してます。
そして、その日本(人)が広く広く、小林さんのように「パレスチナ(イスラエル)問題」
を認識することのみが、日本政府を動かす大きな力になってきましょう。これも又選挙がらみーー。
尖閣、竹島同様、我々に無関係ではないわけです。
そのための「拡散メディア」としてJANJAN市民ネットに大いに期待したいところです。
感謝
双方が停戦に合意し、21日同日午後9時(日本時間22日日午前4時)に発効し、イスラエル軍の地上侵攻は土壇場で回避されたとのこと。
しかし、これが和平交渉の再開に直結しない。この辺りが、日本(人)には本当にわかりにくい。
- 浅見早登子2012年 11月 22日 18:52
こんにちは。浜地さんの行動に感激しております。中東問題は私には到底理解できないほど深い深い民族問題や色々なものが交差している問題です。
日本の代表として行動して頂いてありがとうございます。
多くの日本人に知って欲しいです。
私は最近、シリア人と一緒にアラビア語翻訳を始めました。
故アラファト議長(パレスチナ)の暗殺説があり、遺体の発掘が
マラッラー27日に行われ,DNA鑑定にまわされたよし。
結果次第で、「憎悪」が増しましょう。
- Hisae Nittoh 2012年 11月 29日 20:28
浜地さん、お久しぶりです。
よくご無事で・・といったらあまりに無知でしょうか?
パレスチナ問題はアメリカ含むフランス、イギリス、ドイツ、イタリア・・というヨーロッパの主要国がそもそも問題の根底にある責任を負うと聞いたことがあります。 そこに日本が仲裁に入る?というか、其のぐらいの外交が出来る国作りをしなければいけないということになりますね。。尖閣や竹島問題も自分では関心を持っているつもりですが、考えると私はテレビで池上先生の講義を見ての請けうりぐらいの知識しかありません。先日、尖閣諸島には日本人がもともと住んでいたという話をしましたら、本当に最初に住んだのが日本人と断定できるのか、何時ごろまでさかのぼって断定するのか、等と突っ込まれました。あまりのことに、なぜ最初に住んだ人にそこまでこだわるのか、と逆に問えばよかったな、と後で思った次第です。私としてはどのようにして国の領土なったか、その方法が重要だと考えること、例えば武力である日突然占領したのか、或いは国際法に照らし合わせて其のとき最善で合法的な方法で定めたのか、焦点はそこにあるのではないか、とせいぜいそんな程度なのでした。なんだか・・ダメですねーー反省。
本日、国連にてパレスチナの「オブザーバ国」が承認されました。
Big News!
日本が賛成国に回ったのは、特記すべきことです。
http://www.janjanblog.com/archives/51233
日本が賛成に回ったのは私にとってはうれしい誤算でしたが、もし反対に回っていれば世界の物笑いになるところでした。何しろ反対票はカナダとチェコを除けば南太平洋の極小無名国家だけですから、日本の関係者はこの辺の票読みをしてアメリカにあらかじめ了解を取って行動したのかもと勘ぐっています。
しかしここまで世界を敵に廻しても、ましてオバマ政権の後期であるにも関わらずこうした行為に出ることは、さらにアメリカとイスラエルの奇妙な関係を浮き彫りにする効果をもたらせただけでしょう。アメリカはこのお粗末な結果によって、国連のユネスコやその他の機関に援助の大幅な削減などかなりの圧力をこれからかけていくようです。対キューバとイスラエルに対しては(真反対の対応ですが)アメリカの外交政策は過去数十年不変ですね。
クリントン国務長官が次期大統領になれば(確立は低いが)ちょっと変わるのではと期待はしていますが。
私は、今回の国連総会におけるパレスチナ準国家扱いの投票において、ドイツは直前まで反対に回ると聞いていたので、現実にドイツが棄権に回ったことに驚きましたが、今日のシアトルタイムズの記事を読んでいると、イスラエルにも大変な衝撃が走ったとイスラエルの高官が語っている由。ドイツのこの決定は、イスラエルが、そのセツルメントに対する話し合いが全くなされない又は無視されていることに、絶対的なプロイスラエルを政策としてきたドイツも最後の最後で史上初めて決定を覆したとのこと。(随分悩んだ様子が記事から伺えます)
しかしこれによってイスラエルはますます頑なにセツルメントを続けるに事になりそうで、この辺りの推移は北朝鮮の核開発政策と同じで(海外圧力が高まれば高まるほど意地になる)、これまでイスラエルにそれなりの理解を示していたヨーロッパからも、今後イスラエルは冷たく扱われることは予想され、北朝鮮と共にイスラエルも
厳しい国際的孤立国家として歩まざるを得なくなりそうです。またイランにも良い口実を与えることになります。
同時にアメリカも今までの様な”イスラエルの後ろ盾”という安易な政策だけでは立ち行かなくなりそうで、オバマ大統領の力量が試されることとなりそうです。
一方日本で安部右派政権ができれば、再び、盲目的なアメリカ、イスラエルよりの政策が強化されそうで、世界における日本の外交と言うものがこれ以上笑いものにならないように、日本人ももう少し先進国としての自覚を持った世界レベルの判断を選挙において示して欲しいと熱望してやみません。
私は特にどこを指示と言うことはありませんが アンシャン レジーム だけは避けて欲しいと祈る思いでいます。
- Hisae Nittoh 2012年 12月 10日 11:54
浜地さん、ご苦労様です。エジプトも混乱していますね・・
ところで、黄 文雄(コウ ブンユウ)という人ご存知ですか? 最近この人が書いた「日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか」という著書を読み始めました。朝鮮半島の歴史には実に興味深いものがあります。もともと大中国の属国、小中国として扱われていたのを朝鮮半島だけ切り離して、朝鮮として独立させたのは日清戦争後の日本だったんですね。つまり韓国としての国の歴史はそこが出発点だった・・色々眼からうろこのことが書いてあります。パレスチナ問題も色々な見解、掘り下げ方があるから・・たいへんなことですね。想像するばかりです。安倍の自民党復活となるのでしょうか!?
小林 さん、
Nitto さん、
話はあまりにも重すぎるので、私自身のコメントがまとまらないの
ですが、お二人に共通の「旧体制」への復活のこと。
(選挙中ですから、固有名詞を出してはいけないのでしょう)。
私は「日米同盟=軍事同盟の深化」を本当に恐れ、危惧しています。