浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第213回】イスラエル・パレスチナ紛争に思う「西東詩集管弦楽団」

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主催者Tempo Primo(共催・日本経済新聞社)のポスター


https://ebravo.jp/archives/87309 (池田卓夫氏によるインタビュー)

巨匠、バレンボイムが、来日公演。昨28日(2021年5月)、東京に無事到着したとのこと。

 折しものイスラエルパレスチナ紛争(ガザ攻撃)というタイミングから、(元)中東駐在の商社マンとして、筆者の思いは西東詩集管弦楽団 (同サイトから)に行く。https://west-eastern-divan.org/

 その和平を願いながら、2009/01/13の拙稿を再掲する。

                 = 記 = 

 米ブッシュ政権を誤らせ、オバマ新大統領にとっても、世界的にも大きな課題である中東問題は「イスラエルパレスチナ問題」に帰結するというのが筆者の持論だ。パレスチナイスラエル)問題は共存共栄でしか解決できない。悲劇的なのは両者に言い分あるということ、だ。
 これを大前提として状況を観察していて、今回、昨年12月27日に開始されたイスラエル軍の軍事作戦によるパレスチナ側の死者が800人に達した(パレスチナ側発表)という紛争の関連で象徴的に悲しいのは、日本ではあまり報道されないが、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団(West-Eastern Divan Orchestra)の中東演奏旅行が中止されたこと。
 同管弦楽団はアルゼンチン生まれのロシア系ユダヤ人(イスラエル国籍)である指揮者・ピアニスト、ダニエル・バレンボイム(1943−)とパレスチナアメリカ人文学者エドワード・サイード(1935~2003)により1999年に設立された。

 バレンボイムは今年(2009)のウイーンフィルによる「ニューイアーコンサート」が生中継され、日本人にも馴染みの指揮者だ。(*又、2022年も登壇予定)


 その楽団名はゲーテの「西東詩集」West(西)-Oestlicher (東)-Divan
トルコ語ペルシャ語アラビア語でCouncil=国政会議、Diwan)から命名されている。

 ドイツの大詩人ゲーテは東洋オリエントにあこがれ、聖コーランクルアーン)やハーフェズ(イランの詩人)に憧れることになり、1819年に『西東詩集』(せいとうししゅう、原題:West-Oestlicher Divan )を刊行した。

 (*その「憧れ」は「愛と対話が開く宇宙(野口薫)」に窺い知ることができる) https://www2.chuo-u.ac.jp/up/isbn/ISBN978-4-8057-5180-0.html 

 楽団は、「東西融和」「共存への架け橋」を目指して結成され、メンバーは対立するイスラエルアラブ諸国の若き音楽家たちである。毎年夏にスペインのアンダルシアで合宿し、中東を含む海外演奏ツアーをおこなっている。

 今回の中止は2006年7月のイスラエルによるレバノン侵攻時以来、二度目のことだ。

参考:

1) 同楽団のサイトにあるバレンボイムの言葉 (拙訳)
- There is no military solution to the Israeli-Palestinian conflict.
イスラエルパレスチナ紛争では、武力解決の道はない】

- The destinies of the Israeli and Palestinian people are inextricably linked and the land that some call Greater Israel and others Palestine is a land for two people.
イスラエルパレスチナの人々はほぐすことができないほど結びついている。一部に言われる「拡大イスラエル」とは他方「パレスチナ」と呼ばれ、それはその二つの人民のものである】

2) バレンボイムは2004年、『叙勲』にあたっての謝辞という機会に、イスラエル国会において次の演説をして「元首」から批難を浴びている。
【心に痛みを感じながら、私は今日お尋ねしたいのです。征服と支配の立場が、はたしてイスラエルの独立宣言にかなっているでしょうか、と。他民族の原則的な権利を打ちのめすことが代償なら、一つの民族の独立に理屈というものがあるでしょうか。ユダヤ人民は、その歴史は苦難と迫害に満ちていますが、隣国の民族の権利と苦難に無関心であってよいものでしょうか。イスラエル国家は、社会正義に基づいて実践的・人道主義的な解決法を得ようとするのではなしに、揉め事にイデオロギー的な解決を図ろうとたくらむがごときの、非現実的な夢うつつにふけっていてもよいものでしょうか】

 

「関連拙稿」  

https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2021/01/20/095124         1999年ワイマール ~ 西東詩集管弦楽団

https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2021/04/09/115736             パレスチナ訪問記 

https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2021/05/23/221446                     中東和平に重要な握手 

https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2021/05/24/231213                                オスロ合意を日本の手で再構築を

 https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2021/05/05/125135                     夜のBreak Fast (今回ガザ攻撃はラマダン明け、祝いのタイミングだった)