浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第192回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考  (9)

 

 


(2018.8.6 JICL法学館憲研究所に寄稿)

 

 

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Oleander夾竹桃Project 歓迎会



 

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イスラム若者と談笑のチョムスキ—教授



 

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ICAN/PB 川崎哲さんと



原水爆禁止を訴える夾竹桃プロジェクト

 

5月12日はNYCでの国際平和会議、そして7月11日には
オスロで「ノーベル平和賞受賞者会議」の事務長らに「憲法九条は
世界の宝」とアピールし賛同を得ました。

帰国後、そのことを「九条地球憲章の会」の研究会で発表しました(7月25日)。

そこでの出席者、浅川和也氏(平和教育者)がOleander Project(「中東・平和教育原水爆禁止」というNGOを紹介してくれ、その歓迎会に出席しました。
(8月1日。於:清泉女子大学。主催:新英語研究会)

Oleander夾竹桃は広島(復興)のシンボル花
それを冠して、レイ松宮氏(在ボストン、日系米人)が推進するNGO。中東やアメリカにいる高校教師を招いて、平和教育を討議する。
今年も「原水爆禁止世界大会(広島)」に参加する。
帰国後、授業で、生徒たちに核兵器の悲惨さ、平和の大事さを伝えてもらう、との素晴らしい運動、と知りました。

イラン、レバノン、モロッコパレスチナなど中東から。また、米国はマイアミやボストン、NYCからの参加者もいて、筆者(浜地)の頭の中では大混乱。
が、それぞれ個人的経験(もと中東駐在商社マン)から馴染みもあり、会話が弾み、「九条を護り、世界に広げる」に賛意を得ました。
勿論、トランプ追従の危険についてもー。

写真背後の十字架(清泉はカトリック)とヒジャーブ姿はECUMENICAL⇒INCLUSIVE寛容の象徴にも見えます。
(5月12日、NYCにて、ユダヤ人のチョムスキー教授がイスラム教徒の若者と談笑していたように)

そして、思いがけずICAN/PBの川崎哲さんに再会。「九条の精神で世界憲章を」運動への理解・支援をお願いしました。

記念写真でどうして皆が笑っているかというと、「(はい(チーズの代わりに)ビール」と言って、すぐ「ノン・アルコールの」と叫んだからです。
実際、パーティーはアルコール無しでした。

(参考)同プロジェクト、原水爆禁止2016年世界大会出席の報告

 

 

【第191回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(8)

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ノーベル平和センターにおける特別写真展協賛のNational Geographic



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平和を歌うBrigitte Grimstadさん



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NATO軍事演習に抗議するIngeborg Breinesさん



 

(2018.7.23JICL法学館憲法研究所に寄稿)

オスロで「世界の宝九条」をアピール

 

5月12日、NYCにおける国際平和会議TWO MINUTES TO MIDNIGHT(「あと2分で世界は終末を迎える」という国際科学者連盟の警告)において、N.チョムスキー教授をはじめ、世界の錚々たる平和リーダーの話を聞き、同時に、事後の懇親会も含めて「世界の宝九条」をアピールできたのは、幸運以外の何ものでもありません(PDF)。

その出席者リスト、議題を振り返り、改めて「凄いところに行きあわせたなあ!」との感を強めています。

さて、その「九条の会(と日本被団協)をノーベル平和賞に」という運動を長年推進してきた筆者(裏方)としては、やはりどうしてもノールウエイ・オスロに飛び、直接関係者に会い、状況を確かめ、「九条は世界の宝」とアピールせねばと使命感をずっと抱いてました。

そしてついにオスロ(及びストックホルム)訪問を決行、「ノーベル平和センター」、「PRIO国際平和研究所」等々を訪ねることが出来ました。
*1 ノーベル平和センターでは、何と特別写真展Generation Wealth(謙虚さ質素さを忘れ富を追う現代)をNational Geographicがスポンサーとのことで、当事関係者たる筆者は特に嬉しいこと。
*2 PRIOの創立者は「積極的平和」提唱のJ.ガルトウング教授。

A.・ノーベルの平和希求という観点から、ノーベル平和賞を「監視」し、ずっと「憲法九条の世界的価値」を評価してくれたのが平和問題の識者、Fredrik Heffermehl氏(元々は憲法学者浦田賢治教授の紹介)。

同氏の紹介で、関係者がオスロ議会前の広場で平和(軍縮)アピール集会をするというので、
早速行ってみました(7月11日)。

演説するのはIPB(International Peace Bureau)の前共同会長のIngeborg Breinesさん
IPBは何と、前述、5月のNYCにおける平和会議の主催団体。
折しも、NATO北大西洋条約機構=米国を中心とする欧州での集団的軍事機構)による大規模軍事訓練があり、それへの抗議集会に参加、ベルリンから帰国した直後とのこと。
ギターを抱えて歌っているのはプロの歌手Brigitte Grimstadさん。82才とのことだが、まだに魅力のある歌声。

皆、この飛び込みに過ぎない日本人一市民の「戦争を禁止した日本国憲法九条の世界的価値」というアピールを、素直に賛同、評価してくれました。

極寒の長い冬があるからこそ、北欧のこの7月は本当に晴れやかーー。

 

【第190回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(7)

 

 

(2018.6.4 JICL法学館憲法研究所に寄稿

 

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控室で、羽場久美子教授(主催)、木村朗教授と共に

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ガルトウング教授講演(通訳は奥様)

 

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鳩山由紀夫元首相も加わり、討論会



 

 


「平和学の父」ガルトウング教授の積極的平和論

 

 NYCでの国際平和会議で、「世界の良心」N.チョムスキー教授に思いがけず再会、「九条は世界の宝」「トランプ追従の安倍政治は危険」との言明を得たのは、5月12日でした。  (本欄、拙稿、2018年5月21日付 https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2021/02/02/112833

 そして、帰国後間もない5月25日、今度は「平和学の父」J.ガルトウング博士に再会。「九条の精神で地球憲章を」と主張する私は大いに励まされました。
 同博士は、青山学院大学国際研究センター主催(共催:鹿児島大学)での講演会にて、鳩山友紀夫元総理と共に「アジアの平和をどう作るか?」を強く語りました。

 そこでは、「戦争による平和構築は時代遅れ」と喝破。また、「世界で米国の影響力が低下している」と指摘、「日本はそれに追随すべきではない」と警鐘を鳴らし、これは先のチョムスキー教授の言葉と重なり、時空を超えての共鳴と筆者(浜地)には映りました。

 また、東アジア共同体の構築の必要性を訴え、「沖縄を共同体の拠点機能とするという視点もある」と持論を展開、他方、鳩山友紀夫元総理も「北朝鮮の脅威もかなり誇張された形で言われてきた。今必要なのは対話を通じて平和を作っていこうという方向だ」と強調しました。
 さて、言うまでもなく、ガルトウング博士は「積極的平和主義」の提唱・推進者として世界的に認められており、その安倍政治(地球儀俯瞰外交・安保法制・集団的自衛権憲法改正)への疑問は大いに理のあるところ。 

 就中、拙稿に見るごとく、安倍総理の「積極的平和」論は「(意図的)誤訳・誤用」であり、これは現下の政局にあって、厳しい論議の必要性を訴えねばならない、との思いを強くしました。https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2020/09/13/000000

 思いがけず、講演会の当事者である与那覇恵子(名桜大学)、木村朗(鹿児島大学)両教授に再会、護憲を確かめ合えたのも幸運でした。

 

関連拙稿:ガルトウング教授が創設のPRIO 

【第193回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(10) - 浜地道雄の「異目異耳」

 

【第189回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(6)

 

(2018.5.21JICL法学館憲法研究所に寄稿

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チョムスキー教授の講演



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事後の懇話会でイスラム教徒の若者と

 

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サリバン女史と、同校担当教師

 

「世界の良心」、チョムスキー教授に再会 @NYC

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サリバン女史の授業風景

国会をはじめ、世はモリカケ問題、セクハラ問題で賑っています。

が、目を世界に向けると「南北朝鮮問題」「イラン核合意破棄」 「米大使館エルサレム移転」と、地球規模の大問題が発生しています。

 

ここで、どうしても看過できないのが、「世界平和」とは真反対のアベサンの「地球儀俯瞰外交」。(本欄、拙稿、2018年3月5日)

そこに記したごとく、世界唯一の被爆国でありながら、「核兵器廃絶」へのアベ政権の消極姿勢は如何なることか?  

・国連核兵器禁止条約TPNW Treaty on the Prohibition of Nuclear Weaponsに署名をしない。  

ノーベル平和賞2017受賞に祝辞も送らず、来日フィンICAN事務局長の面談要請を断るーー。

 

結論を先に言えば、「個人的信頼関係にあり」「100%信じている」米トランプ大統領への「忖度」ということでしょう。

 

そんな、いてもたってもいられない気持ちの折、New York City で、怒涛のような4日間(5月11日―14日)を過ごしてきました。

9条を軸とする「教育(異文化理解)」と「(世界)平和」という点で、二人の要人に再会できました。(中満泉UN軍縮担当次長には面談ならず)

1)ハイライトは何といってもIPB(1910年にノーベル平和賞を受賞した国際平和ビューロー)主催の国際会議「TWO MINUTES TO MIDNIGHT」。即ち、終末時計による「もう後2分」という地球危機。   

於:Judson Memorial 教会 (ワシントン広場)

PDF

12日、土曜日、朝10時から夕刻16時までびっしり。250人。 話題の「ペンタゴン機密文書(ベトナム戦争の愚)」を暴露したDaniel Ellsberg氏も参加(ネット中継)。

中で、N・チョムスキー教授が45分の講演。The Fate of Humanity。 まさに人類の運命、もう二分しか残されてないのか?

日本のメディアでは共同通信赤旗が取材をしていたが、ここでは南北朝鮮問題にも言及しています。

【南北首脳会談】「米は朝鮮半島問題に干渉するな、という趣旨だ」 「板門店宣言」を米の有名言語学者が読み取る - 産経ニュース

非核平和を選択 原水協・高草木氏が強調/紛争から核廃絶へ/米で国際会議

 

90才という歳を超越した、張りのある声、主張、思想、世界平和論。 トランプ政治への批判。

 

そして、事後、どうしたことか懇親会にも誘われ、そこで、チョムスキー教授に直接、筆者の最大の関心事「世界の宝憲法九条」ついて質問。

「非常に重要」とし、アベ政権による改憲の動向も認知しており、まさに「トランプに追従などとはとんでもないこと」との 即答が返ってきました。 思えば2014年1月、来日時に「憲法9条ノーベル平和賞を」運動を励ましてくれた姿勢と寸分も変わっていない。  

【第60回】 「憲法九条にノーベル平和賞を」に賛同してくれたチョムスキー教授 - 浜地道雄の「異目異耳」

尚、チョムスキー教授が胸にしてるのは、昨年受賞のショーン・マクブライド平和賞のメダルです。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201711/CK2017112502000242.html

 

2)ICAN(2017ノーベル平和賞)の一員であるHibakusha-Stories   

http://hibakushastories.org/youth-arts-new-york-board-of-directors/

核兵器の悲惨さを若き世代に伝えんと、NY地区を中心に学校訪問し、高校生に「語り部」を務めている。

 

5月14日、月曜日、マンハッタン50丁目のWest Endにある高校での授業を視察。

校内には主としてスペイン語が中心の掲示ばかり。ということは中南米出身でしょう。

が、授業は英語で、核融合の仕組み、爆発の仕組みの解説が始まり、 ウラン、プルトニウムと専門用語が続きますーー(汗)。

 

そして私もひとこと。「戦争放棄を宣言した憲法九条」の紹介――。 皆「知らなかったー」とのコメント。

 

さて、この草の根運動を通じて、未来の世代が広島・長崎(の悲劇)を知り、大いに世界平和の旗手になっていくのを楽しみに――。

【第188回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(5)

 

 

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ECUMENICAL CENTREの入居者リスト



 

 

(2018.3.5JICL法学館憲法研究所に寄稿)

 

   

「世界平和」とは真反対の「地球儀俯瞰外交」

 

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ジュネーブにあるICANの入る ECUMENICAL CENTRE





ノーベル平和賞2017がICANに授賞され、裏方(「日本被団協」)の筆者としてはまことにうれしいこと。
そのICANの本部事務所(ジュネーブ)を訪ねた「九条・地球憲章の会」の堀尾輝久代表(東京大学名誉教授)から写真が送られてきました(2月7日)。

私は「(日本的に)雑居ビル」の一室と思っていました。
が、ノーベル平和賞2018に「九条の会」を推薦nominateして下さった野元晋教授(慶応義塾大学、中東思想史)から、「Ecumenical(宗派を超えての)世界教会主義」という非常に重要なご指摘があったので、要約下記、ご披露します。

痛感するのは、グローバル化が叫ばれる日本にあって、現下の日本政府の「地球儀俯瞰外交」に致命的に欠けている「異文化(宗教)」理解、という視点。
安倍晋三首相が「100%信頼する」というトランプ米大統領の危うい言動。
就中、駐イスラエルアメリカ大使館のエルサレム移転政策は、この「Ecumenismエキュメニズム」とは真反対で、世界平和を脅かす危険なものです。

参照:

WCRP JAPAN 公益財団法人 世界宗教者平和会議日本委員会 Religions for Peace

さて、このビルの看板で見るとキリスト教教会関係は"Ecumenical Organizations"と一括りになり、同じビルに"World Council of Churches"(世界教会協議会)とか、"Lutheran World Federation" (ルター派世界連盟)とか錚々たる国際的キリスト教機関が入っていることが記されています。

その中に"Ecumenical Patriarchate Representation"というのもあります。これは「世界総主座代表部」の意味で、現コンスタンティノープルイスタンブル)総主教座が持つ代表部です。これは勿論、かつて東ローマ帝国、もしくはビザンツ帝国の首都であったコンスタンティノポリスの総主教座で、1453年の同都陥落とその後のオスマン帝国支配を生き抜き、そしてトルコ共和国の管理下に存続し、東方正教会の世界的名誉首座の地位にある総主教座が持つ代表部です。
"Ecumenical"の語源であるギリシア語"Oikoumen?"は「人が住む地域」というほどの意味を持つ言葉ですが、アリストテレスの用例にもあるように、後にギリシア人、非ギリシア人に関わらず、「人が居住する世界」の意味を持ち、人が住む世界全体を指すようになりました。

なお"Oikoumen?"の構成要素の語"oikos"は「家」とか「人が住む場所」全般を意味し、これが"oikonomia"となりますと、"nomos"(「使用」、「慣習」、「法」、「規則」)の意味が加わり、「家族の管理」となり、転じて「管理」、「行政」、「アレンジメント」の意味も出てくるようです。この"oikonomia"は"economy"(節約、倹約、経済)の語源であると思います。

 

 

参照:Ikonomi氏とEconomy

https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2020/10/06/000000_1