浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第338回】航空機事故に思う英語コミュニケーション ~ taxi/bird strike

 

能登半島地震に続く日航機と海上保安機の衝突と頭の中が真っ白になるほどの新年!

ここは、転禍為福2024と強く思う。

 

多く、ワイドショーなどが取り上げているが、その解説の中で門外漢即ち素人の市民として強く思うのがヒューマン・エラーではないかということ。

世界中、どこにあってもATC管制塔と航空機の交信は英語だ。

今回の海上保安機との交信。(1月4日ワイドスクランブル=TV朝日=より

ATCの指示:taxi to holding point c5  = (滑走路34R手前の)停止位置c5まで地上走行して下さい。

 それに対する応答にthank youとある。

が、その後交信の記録がないとのこと。問題は「No.1」。「離陸への優先」と取り違えたのではないかー?「滑走路への進入許可」はなかったということではないか。 かつ、必須であるFirst Officer副操縦士による復唱ダブルチェックも確認できない~。

又、同番組では元日本航空機長塚原利夫氏が「飛行機の管制に関しては、いまだにパイロットと管制官との言葉のやり取りで、言い間違え、聞き間違えは時々発生している」とも解説した。

 

(それにしても生き残った海保機の機長は大けが。39歳! 業務上過失致死罪は問われるのだろうが、同僚5人が死亡という事態に苦痛の思いいかばかりか、胸が痛む)

 

さて、ここでの交信にあるtaxiという英語。調べると、「航空機が離着陸の際、自力で地上を移動すること」とある。(その語源は古いー)

航空英語と言えば2009年、これも一月のこと、ハドソン川不時着の米機の交信に思いがいく。

【第69回】 英語ができるようになった瞬間!? - 浜地道雄の「異目異耳」

拙稿後半のdouble bird strike。

まったく何でもない英語だが、これが「鳥が飛び込み、二つのエンジンが機能不能」と、non-native門外漢の筆者にはまったく理解することができない。それも瞬時のこと。

英語教育(の一隅)にある者として「ヒアリングの難しさ」、そして「言葉の意味を的確に理解する(人間の)知力」について考えさせられる。

勿論、航空業界(航空英語)はじめ、多様な社会にあってはそれぞれの分野には「手慣れた業界用語」があるわけだが、こと「非常事態、緊急事態」にあってこそ冷静な対応が期待される。

故にこそ、改めて思う。転禍為福2024、災いを転じて福となさねばならない。