浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第140回】リンカーン・センター(NYC)で遭遇した「西東協演」

 

2011年10月18日

 

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Young People's Concert

(承前)

【第138回】ミュージカル「踊る大紐育」主役を訪ねる(NYC) - 浜地道雄の「異目異耳」

【第139回】「NYフィル、バーンスタイン・小澤征爾」映写会報告 - 浜地道雄の「異目異耳」

映写会(9日)はうまく行ったし、ソノ・オーサトにも会うことができた(10日)。

そして、コロンバス・デーの三連休の最後、11日月曜日、大パレードなど喧噪のマンハッタン、リンカーン・センターでの驚きを記せねばならない。

早朝、何とかリンカーンセンターのエイブリ・フィッシャー・ホールにたどり着いた。招きを受けた「Young People’s Concert」のリハーサル。昼過ぎまでたっぷり二時間半。今回はバッハが主体で、コーラスも入り、素晴らしいミサ曲も堪能した。

「本物」をこそ子供たちに届けるという長年のNYフィルのその姿勢には感心させられる。http://janjan.voicejapan.org/culture/0810/0810260253/1.php

http://nyphil.org/concertsTicks/subs_youngPeopleConcerts.cfm

楽屋で、旧知の青少年部長や思いがけない人にも再会、挨拶とお礼を言って、退出。それから同じ敷地内にあるNY図書館のリンカーンセンター分室にて、ソノ・オーサト(頭記)に関する文献・資料・写真を閲覧。

そして、感動的ヒューマン・ストーリーの生(なま)資料に触れた余韻のまま、外に出て、素晴らしい天気の下、同じく敷地内に立つ、各種音楽公演のビルボード(公演ポスター)に魅入られて、「展覧会の絵」よろしく順番に見ていて、ある写真に目が釘付けになった。  

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Whirling Dervish

ダルビッシュの写真だ。明るい陽射しに反射してまるで幻影のようにその踊る姿が浮かび上がってくる。

如何なることか、とセンターの受付で尋ねて判明した。

10月21日のロンドン交響楽団によるベートーヴェンの荘厳ミサを皮切りに開催されるWhite Light Festival

White Lightとはものの本によれば、我々が視る光そのもの、つまり七色(虹)が合成された時に白(=透明)となり、すべてを包含・昇華した安寧・瞑想の世界(安室奈美恵の同名曲によれば「二人の世界」)を指すようだ。

プログラムを見ると、11月18日は、「Sepharad: Jewish Songs from the Mediterranean セファード:地中海からのユダヤの歌」 セファード! 

何と冒頭に記したソノ・オーサトの70年来の夫、Victor Elmaleh氏の出自、スペイン系のユダヤのことだ。

SEPHARAD|takataka

http://www.sarband.de/english_introduction.html

この演奏者Sarbandは翌日のプログラムPassio-Compassio(11月19日)にも出演する。

Passio-Compassioとは仏教用語でもあるらしい。Passion「煩悩」、Compassion「慈悲」。

http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-522.html

そこで、「J.S. Bach and Sufi Mysticism バッハとスーフィーの神秘性」で共演する。このスーフィーが他ならぬ、件(くだん)のダルビッシュだ。

http://www.whitelightfestival.org/index.php/white-light-2011-passio-compassio

Whirling DERVISHES(クルクル回るダルビッシュ) from Istanbulと明記されている。 つまり、ここではユダヤ(≒イスラエル)とイスラムスーフィーダルビッシュ)が協演ということだ。

これこそ、今、世界を揺るがす中東情勢の混迷の根は「イスラエルパレスチナ問題」だと判断し、その解決には両者の「共存・共栄」しかないという筆者の主張だ。

http://www.janjanblog.com/archives/51233パレスチナ国連加盟申請)

http://janjan.voicejapan.org/world/0901/0901115149/1.php(西東管弦楽団

 

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淡い光に浮かぶ Dervish

夕刻、長年の畏友と、ミッドタウンのトルコ料理店「ダルビッシュ」で待ち合わせ、この「西東協演」のパンフレットをチーフに手渡し、喜ばれた。カウンターで杯を傾けながら、この時空を超えた White Light 物語に圧倒され、Passio-Compassioに胸をうたれ、頭の中がクルクル回るのであった。

 

http://janjan.voicejapan.org/world/0803/0803162877/1.php

 「ダルビッシュ」に思う野球選手と中東地政の関係