浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第139回】「NYフィル、バーンスタイン・小澤征爾」映写会報告

 

2011年10月15日

 

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Palay Center

10月9日(日曜日)、NYマンハッタン・ミッドタウン、Paley Centerでの「NYフィル、バーンスタイン小澤征爾」の映写会を主宰した。(協力:ドリームライフ・クラシックス) 

【第153回】「NYフィル・バーンスタイン・小澤征爾」 映写会 (於:NYC) - 浜地道雄の「異目異耳」

インディアン・サマーの快晴。コロンバス・デイの三連休の間(はざま)、五番街を中心に大パレードで街中大混乱というなか、熱心な聴衆が「Historical Record 歴史的記録」を楽しみ、感動を表明してくれた。

Leonard Bernstein and the New York Philharmonic

因みに、William Paley(1901-1990)は米国最大TVネットワークの一つCBS創始者であり、同センターでは本上映会の「意義」を評価してくれ、会場の無償提供をしてくれた(特別の感謝)。

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試写会

まず、1961年の日本公演(当時、上野の東京文化会館こけら落とし)におけるバーンスタイン小沢征爾への「バトンタッチ」。

26才の若々しい氏が画面に登場すると、聴衆から「オー!」とどよめき。エネルギ―満々、若さハツラツでバッカナーレ(黛敏郎作曲)を演奏。

演奏後の画面では、客席の指揮者渡辺暁夫氏が杖をついて作曲家黛敏郎氏にインタビュー。なぜ、杖をついているのかと思ったら、細長い棒状のマイク。50年前のことと合点がいく。

そして、その前年1960年、ベルリンの壁の作られる一年前のベルリンへの演奏旅行での様子。学生たち(東ベルリンを含む)への講義・解説と演奏はベートーベンのピアノ協奏曲一番。そのモチーフを、フランス風、ロシア風、アメリカ(ジャズ)風、そしてドイツ風とユーモアたっぷりに演奏して解説。そして、「国境を超える音楽」を強調して、自身のピアノ演奏と指揮に入るのだが、その前に、当日は丁度Rosh Hashanah(ユダヤの新年)に当たるとのことで、バースタインはヘブライ語で古式「平和への祈り」をささげた。

これが、ナチス・ドイツの首都であったベルリンという場であることを考えると、その持つ意味・意義は大きい。

そして一時間に亘る、自身によるピアノ演奏と指揮素晴らしい演奏。白黒画面ながら、50年前とは思えぬ音響も素晴らしく、弾き終ると、思わず画面の聴衆と共に、参加者一度、拍手。(映画で拍手が出るというのは珍しい、と同センターの談)

開会に当たり挨拶をしてくれたバーンスタインの愛娘Jamieが、上映後再度登壇。「素晴らしかった」「小さい時からずっとそばにいて聴いていた父の話、音楽。勿論色々なことを知ってるつもりだ。しかし、今日の演奏はその私も知らなかった。感動した。(聴衆の)皆さんの感想・意見も聞きたい」ということで(ミニ)ディスカッションにまで発展した。

一人の米国人男性は「このNYフィル・バーンスタイン」のTV・シリーズ(フォード社の提供で、広く全米に放映された)は私が小さい頃、両親とともに聴いてた番組。今ここでこれが再現され、また、自分も弾いたことのあるピアノ協奏曲に接し、本当に思いもかけない驚きと喜びだ」と興奮気味に語った。

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Jamieと矢野顕子さん

駆けつけてくれた矢野顕子さんにも「音楽の楽しみ」を共有していただき、Jamieとツーショット。

さて、音楽を通じての平和への願いは、冒頭拙稿にても述べたごとく、(同じくユダヤ人である)バレンボイムのひきいる「西東詩集管弦楽団WEDO」に見ることができる。

 

次稿に続くーーー

【第138回】ミュージカル「踊る大紐育」主役を訪ねる(NYC) - 浜地道雄の「異目異耳」