浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第362回】東京都知事選 ~ 競うべきは「未来に向けて」

筆者(浜地)は商社マンとして中東はじめ、米欧亜駐在、出張を経験してきた。

ゆえに、政治への関心は、常に穏健・中庸・公正という立場を心がけている。

 

という前提で、現下ホットな東京都知事選挙(6月20日告示、7月7日開票)について下記する。

小池百合子都知事の8年間の施策、業績への評価が論点になるのは妥当としても、しかし、SNSはじめ「学歴(詐称)問題」の喧しさには疑問を持つ。

後だしジャンケン」はすまいということで、私的見解だ。

 

*以下小池百合子氏を小池さんと記す。(先生と呼ばれるとゾッとする。「永田町ブロードキャスター朝日新聞社

 

巷で話題になっているもう50年も前の当時の同居人による、20才の少女(小池さん)の生活上の言動報告をもって、1400万人の東京都民の生活に(悪)影響があってはならない。

 

小池さん自身が提示した「証明書」もあるし、ことはすでにエジプト政府(大使館)による「証明」をもって解決してるのではないか。

エジプトにおける(大学)教育システム、学位認定法は日本で考えるのとは異なりかなり「緩やか」である、という論考に現地文化を体感した筆者は与するー。

 

隠ぺい工作に加担したと「暴露」した小島敏郎氏(元都民ファーストの会事務総長)は今回小池さんが卒業と記した場合は「選挙管理法違反」として刑事告訴するとのこと。

が、賤しくもエジプト政府(大使館)が認定したものを日本の司法が「虚偽」と断定できようか? ことはエジプト側の責任なのだから。

 

さて、小池さんの「気丈な性格」を示唆する記述がある。

母上の告別式での「感謝状」

平成25年9月21日:「素人のクソ度胸」というのが母上小池恵美子さんの告別式で配られた感謝の言葉で引用された「文芸春秋1992年5月号」の記事だ(筆者抜粋):

カイロ大学留学中に訪ねてきた母(60)は突然「日本料理店」を開きたいと言い出した。

・貿易商会社を営んでいた父(勇二郎氏)が事業に失敗したことから強力な助っ人として加わった。

・そもそもカイロへの留学を思い立ったのも母の影響が強い。

・父は政治好きで事業はそっちのけ、母の冷徹なまでの人生哲学は危機感から出たもので、娘としても分からないでもない。

・「やってみなくちゃわからない」が口癖の母からパイオニア精神を学んだ。

 

これが政治家小池さんの原点といえよう。

 

石油担当テヘラン駐在商社マンだった筆者(浜地)は1973年、石油危機に接し、ことの重要性を強く認識した。そのころ小池さんの父上勇二郎氏との接点もあり、その「豪放ぶり」は承知している。また、母上が始めたカイロの日本料理店「なにわ」にも出張のたび訪れご両親の「パイオニア精神」に接した。

 

さて、イスラム思想家という飯山陽氏*によると小池さんのアラビア語能力はせいぜい2歳か3歳か、それぐらいだと思う、とのこと。

*因みに飯山陽氏はIslamophobiaイスラムフォビアイスラム嫌悪)として、この世界では知られている。

 

どうして、どうして。何度かの機会に小池さんのアラビア語を直接聞いた筆者はその流暢さに感心した。筆者はアラビア語はできないが、しかし、英語教育という立場・経験からして、小池さんの「話す」「聞く」「理解する」能力は高いと判断する(書く・読む能力を知る立場にはないが)。

サウディ・アラビア皇太子来日、右は駐日大使 (筆者撮影)

 

因みに、高校時代からESSで鍛えたという小池さんの英語力は抜群だ。

【第118回】五輪のLEGACY - 浜地道雄の「異目異耳」

 

 極めて微妙な問題だが、頭記を繰り返す。

50年も昔の、それもエジプト政府(大使館)が認定をしてる学歴を詐称問題として1400万人の都民の生活を左右する論争は留意を要する。

都知事選挙で競うべきは、未来に向けて、小池都政8年の業績評価だ。