浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第148回】「サンディ」の米大統領戦への影響

 

2012年11月6日

 

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フジサンケイ・ニュースより

何であれ「後だしジャンケンはすまい」というのが筆者の信条だ。

ということで、米大統領選挙(11月6日)の今、「オバマ再選」を願う思いを再掲する。

【第147回】9・11に思う ~ 来る米大統領選挙にむけて - 浜地道雄の「異目異耳」

そこで、「ホルムズ(海峡)情勢、中東情勢に異変が無い限り、オバマ再選」だと述べた。

まさにその時、9月11日(現地時間)夕刻、リビアのべンガジの米領事館が襲撃され、スティーブンス米国大使と領事館職員3人が死亡した、とのニュースが飛び込んできた。あまりのタイミングに驚き、「すわ、中東戦争か」と肝を冷やしたものだ。

が、オバマ大統領による非難声明は出たが、どうしたことが、大きな動きには至らなかった。

世の中、「想定外」が多いが、10月末、今回の米大統領選に影響するのが東部で大きな被害を残したハリケーン「サンディ」。オバマ大統領は遊説を取りやめ、直ちに災害復興活動に従事したというのが好感されているという。

実はこれにはロムニー候補にとって不利な重大な背景がある。同氏は昨年6月、共和党の大統領予備選のTV討論会で、「そうした組織を維持する財政的な余裕はない」とFEMA*廃止論に踏み込んだ。 *FEMA連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency)は、大災害に対応する政府機関だ。Home | FEMA.gov

小さな政府、つまり公共に使う予算(税金)を最小化するというのが共和党であり、右派団体ティー・パーティーの人気をも伺う発言だったのだろう。

まさにこの選挙戦直前になり、ロムニー候補に不利な要素としてクローズ・アップされ、方やオバマ候補には有利に働く。言ってみれば、それぞれにとっての「-」と「+」の幅が大きくなったわけだ。

今回、被害の大きかったNJ州でFEMA発動を指揮したオバマ候補にたいして、「オバマ狙撃主」として有名だった共和党のクリスティー知事(今回、副大統領候補ですらあった)が賞賛する姿が目にのこる。

ということで、筆者の胸の内ではオバマ勝利と確信し、ほっとしたのだが、さあ、開票結果がどうでるか、まさに固唾を飲む思いだ。

というのも、日本とはまったく異なる米大統領選挙。多々解説があるが、実は11月6日に決まるわけではない、という事情を下記要約しておこう。

日本では選挙とは要するに「得票数が多い方が勝ち」だ。(首相選出過程が密室で行われる以外は)。しかし、米国の大統領選挙は我々にはわかりにくい。

異例ながら、接戦だった2000年11月7日のブッシュ(子)対ゴア対決では、「総取り」(州ごとに過半数をとった党が全票をとる)制度のせいで、激戦地フロリダ州でもめにもめた。

両者の差が投票数の0.5%以下だったため、州法に従い、票の数え直し(機械あるいは手作業)となり、その手続きを巡って、連邦最高裁に持ち込まれた。得票数ではゴアだったと言われてるが、ブッシュが勝訴したのは12月12日であった。結果、フロリダ州の25票の選挙人投票が加わりブッシュは271票を獲得(ゴアは266票)した。日本では考えられないことである。

11月6日は、「選挙人」を選ぶ一般投票(それも全国民ではなく、登録をした者)である。そこで選挙人538名が選ばれる。(その選挙人が民主党共和党化の色分けがされている。それが「寝返る」可能性は少ないらしい)

因みに、同日は、又、連邦議会議員の選挙日でもある(上院は、定数100名。2年ごとに、3分の1ずつ改選。 下院は、定数435名。任期2年)。これが日本と同様、「ねじれ現象」を起こし、大統領の執政に大きな影響を及ぼす。

その選挙人が12月17日に大統領選出投票を行う。(そこで過半数、すなわち270名を獲得する必要がある)

ところが、その開票は来年2013年1月6日であり、大統領及び副大統領当選者が正式に決定されるのはその日まで待たねばならない。

そして、実際に(新)大統領の就任式は、来年1月20日に行われる。