浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第89回】 ペトロ(ペテロ)岐部(1587〜1639) 〜 稀代のグローバル人

 

2016年12月20日

 

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「和魂洋才」と「異文化理解」講演

何かと話題になる「グローバル化」「グローバル人材(育成)」そして、「言葉・英語力」。

が、そこに「ペラペラ度」以前に重要な「異文化理解」を忘れてはならない。
即ち「(自分とは)異なる歴史、宗教、人種、生き様(ザマ)」の理解である。

その観点から「中東」および「米国」という地理的にはまったく異なる地域での
ビジネス駐在から得た「体感」を披露する二つの機会を得た。

一つは印刷会社最大手、凸版印刷(株)のグループにおける「リベラル・アーツ講座」
〜 国際ビジネスに不可欠な「和魂洋才」と「異文化理解」(12月5日)。

同社は自身のグローバル化という視点だけでなく、多くのお得意先をもち、その外部のお得意先が「グローバル化」を目指している。
その客先との接点にある者として、全社グループ内のイノベーション意識を高めようという原点。社内グループでこの(営業・売り込みといったビジネス手法だけでなく)意識を高め、知識を深めるという姿勢には感心させられた。

(見えてる)棚にはNational Geographic誌がズラリーー。(関係者としては嬉しく)

【第90回】 魅力の「ナショ・ジェオ」 - 浜地道雄の「異目異耳」



そして、もう一つは、大分県国東(クニサキ)市国見の名刹、竹田山大光寺における「文化講座」。
若者が県外に出ていくという趨勢にあって、「心の過疎とはなるまい」という趣旨の
文化講演会はすでに121回を数えるという。
参照:国東市国見町

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竹田山大光寺住職、武多成道師と

121回文化講演12月18日、日曜日:(屋根下に苦楽のありて十三夜:武多成道 住職)
テーマ:目からうろこの世界俯瞰 〜
    米大統領選から中東紛争まで
・もつれた世界治政
・異文化体験(テロ・紛争に10回ほど遭遇)をもとに解説
・日本の果たすべき役割は?

話を「米大統領選挙のシステム」から始めた。
日本ではあまり報道されないが、正式の選挙は(11月8日を受けての)12月19日のCollege。
その開票は2017年の1月9日。その結果を受けて1月20日の就任となる。
参照:米大統領選に異文化Showを見る

インターネット時代にはそぐわない古いシステムは建国時の各州の事情(南北攻防など)が
反映されている。 そしてそこには「キリスト教」「ユダヤ教」「イスラム教」という根を一に
する一神教という(多くの)日本人には理解が及ばない世界がある。
参照:「番外編」イスラムを知らずして世界は語れない

お寺の本堂でこれらの「(他)宗教の話」を住職は快く許してくださり、
100名近い聴衆には好評を得たようだ(アンケート結果)。

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国東市、岐部村の「ペトロ岐部記念公園」にて

さて、この地、国東半島の岐部町は、稀代のグローバル人、ペトロ(ペテロ)岐部(1587〜1639年)の出身地である。
聖イグナチオ教会上智大学、東京四谷)の「岐部ホール」にその名を残す。
参照:ペトロ=カスイ岐部の軌跡

住職の案内でその地(記念公園)に立ち、遠き昔に信仰を貫き、文字通りグローバル人として旅し、生きた福音者を偲んだ。
隣接の「国見ふるさと展示館」には岐部のローマにおける関連資料などが展示されている。

改めて、その岐部がインド・ゴアからペルシャにわたり、ローマへの途次、
900キロ、陸路(徒歩?)でエルサレムを目指したという信じられない
人間物語に感動を覚えた。

石油担当商社マンとして最初に駐在したのがイラン(ペルシャ)。新婚旅行はペルセポリスイスファハン、シラッズだったという筆者(浜地)にはことのほか思いが強い。

ペルセポリスから飛鳥へ」(NHK出版)で松本清朝は「ペルシャゾロアスティア教の
拝火儀式」が飛鳥(奈良)に伝わったとまさに時空を超えたロマンを記している。

 

関連拙稿:
Parsiの商人
国際教育研究会:月例研究会で講演。

関連サイト
ペルセポリスから飛鳥へ(松本清朝)