浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第68回】 集団的自衛権=憲法九条違反 〜 英語教育の観点から


2014年11月30日

本欄は政治論議が目的ではない。が、日本の同時通訳の草分け、國弘正雄氏逝去(11月25日)にあたり、やはり書いておかねばならない。 英語教育の目的は「平和構築」という観点からーー。

参照:何故英語を学ぶのか 〜 世界平和のために!
参照:JACET大学英語教育学会 第53回(2014年度)国際大会のテーマ:  Fostering English Communicative Competence for Peace and Friendship 「平和と友好をめざす英語コミュニケーション力の育成」

國弘氏はすぐれた英語教育者であり、かつ、頑ななまでの護憲主義者だった。
参照:國弘正雄氏に聞く「英語教育」と「護憲」

その主義の背景は、マイケル・マンスフィールド元駐日アメリカ大使(1977-1988)への強い信奉であったよし。マンスフィールド大使が米国議会(民主党)の最長老でありながら徹底的にベトナム戦争に反対した、という気骨に感動を受けたとのこと。

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この戦争は間違いだった!!

ベトナム戦争(1960年12月―1975年4月)。
それ(ベトナム侵略)は間違いであったと、ベトナムへの本格的介入時の国防長官マクナマラは自伝で述べている。

ベトナム戦争については、又、カーチス・ルメイ空軍参謀長(当時)も忘れてはならない。
参照:春の叙勲に思う

鬼畜ルメイを叙勲

ルメイ空軍参謀長

拙稿後半。第二次大戦末期、ルメイは爆撃集団司令官として、日本攻撃(東京空襲、広島・長崎原爆投下)に関与。「鬼畜」とも呼ばれ恐れられた。が、彼を日本政府は叙勲した(1964)。それを推薦した、時の小泉純也防衛庁長官小泉純一郎氏の父。時の佐藤栄作総理は安倍晋三氏の大叔父。1974年の佐藤栄作総理へのノーベル平和賞授賞の理由「核拡散防止」については、疑義(米国との密約)が存在する。そのあたりから、特定秘密保護法集団的自衛権行使容認といった今日の状況を見ると、因縁を感じる。

そして、米軍による対外侵略の間違いは、イラク攻略にも引きつがれる。
参照:

【第226回】9・11同時多発テロ ⇒ 「カーブボール」考 - 浜地道雄の「異目異耳」



拙稿の通り、その米軍の対外侵略の愚を一番知る立場にあったのが、他ならぬ安倍晋三氏である。その安倍晋三内閣決議(7月1日)による「集団的自衛権行使容認」が憲法九条の違反であるということについては、小西洋之参議院議員の検証に詳しい。
参照:集団的自衛権行使を容認する閣議決定の違憲・違法性について

男女4人の子供の教育を米国NYCで受けた筆者は「親米派」を自認している。が、一点どうしても看過できないのがこれら米国の対外軍事戦略の間違い。それを承知で、日米(軍事)同盟深化へと追随する日本政府の姿勢である。
参照:文化の衝突――「勝てない戦い」からは、直ちに撤兵を求めたい

国会の近く、憲政会館の入り口に「憲政の神」「議会政治の父」とも呼ばれた尾崎咢堂(行雄)翁の像があり、そこの碑には「人生の主舞台は未来にあり」とある。
The main stage of our life is in the future. (拙訳)

そう。我々は次世代への継承Sustainabilityを中心に今を、そして未来を広く考えねばならない。

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カーブボールに騙された国連演説

尾崎翁の三女相馬雪香さん(1912―2008)は國弘正雄氏と同様、同時通訳の草分けであり、かつ、日本のNGOのパイオニアでもあった。雪香さんは「何のために通訳をするのか」「世界に心を開くため」と自分にも、娘(尾崎行雄の孫)原不二子さんにも厳しく問いかけていたよし。
参照:同時通訳は世界に心を開くための窓口
参照:同時通訳の大御所「笑む・笑む」さんの喜寿の会

さて、國弘正雄氏は、政界にも進出、(当時)三木武夫首相の秘書官になる時に「自分は自民党に票を入れるかどうかわからない」と言い、「それでもよし」という返事に感動して、「三木を男にしよう」と思ったと述懐している。その三木武夫首相の三木睦子夫人は「九条の会」の呼びかけ人でもある。
参照:「九条の会」呼びかけ人・9人のプロフィール

最後に「憲法九条こそ、世界に誇る宝」という思いからの「九条にノーベル平和賞を」運動に触れなければならない。
参照:PeaceとPacifist 〜 ビジネスも平和が前提

甲斐あって、PRIO(オスロ国際平和研究所)は「九条」を候補のトップに挙げている。
参照:Nobel Peace Prize 2014: PRIO Director's Speculations
そこに挙げられた根拠はThe Economistの記事だ。
参照:Japan's pacifist constitution - Keeping the peace

PRIOは「A.ノーベルの遺志」=平和主義をベースに分析している。即ち、人権問題、子供の権利、貧困・格差問題といった点はノーベルの遺志には含まれてない。そこからの判断(予想)に対して、時に「過去の予想的中率が低い」という評価もあるわけだが、つまりそれは基準・視点が違うということである。日本の憲法九条こそ、A.ノーベルの遺志に添ったもっともふさわしい平和の象徴ということだ。

さあ、いよいよ2015年2月1日。オスロでの推薦締切が近づきつつある(10月10日発表)。
参照:Nomination and Selection of Peace Prize Laureates

■ 参考リンク:
「立憲デモクラシーの会(学者)」
「立憲フォーラム(国会議員)
日本外国特派員協会主催記者会見(小西洋之議員ら)
Japanese lawmakers say war-renouncing Constitution deserves Nobel Peace Prize (Japan Times)
The Nomination of Article 9 of Japan's Constitution for a Nobel Peace Prize 日本国憲法第9条ノーベル平和章候補に (Japan Focus)