浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第57回】 何故英語を学ぶのか ~ 世界平和のために!


2014年01月15日

 

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現駐日サウディアラビア大使とともに

某年。国際会議「異文化理解教育フォーラム」から帰国された鳥飼玖美子教授(立教大学大学院)のことばが忘れられない。
そこで討議されたのは「言語・異文化を学び、尊重することは、戦争を二度とするまいという願い」だった、とのこと。わが意を得たりとはまさにこのこと、心に残っている。

昨年末近く、安倍内閣下で「特定秘密保護法」「日本版NSC設立」二法案が公布され、一年以内には施行の運びという。
安倍首相は、あまつさえ、靖国神社に参拝をし、「右傾化」と韓国・中国から大いなる非難を浴びている。
本欄は政治論議が目的ではないが、ビジネスマンとして、また、日本国市民として、事実は認識しておかねばならない。


靖国神社は「国立施設」ではなく、宗教法人である。
明治時代の招魂社から1939年(昭和14年)4月に施行されたShinto-Shrine神社である。
そこに合祀enshrineされている240万の霊に、問題視されているA級戦犯Class-A Criminal 14人(大戦後の裁判IMTFEで有罪)が「追加」されたのは1978年10月だ。
つまり、この「追加」により、靖国神社の「性格」が転換したということを認識せねばならない。

今回の首相の靖国参拝に対する米国からの警告は、そこから生じる中国・韓国との摩擦、それによる(東)アジア圏での不必要な軋轢に対するものに相違ない。
筆者の見解では分祀、つまり元に戻すrestoreしかない。
これが軍事路線批判に対する「ソフト・パワー」だ。

さて、中東イスラム圏のあとの米国(NYC)での生活を経験し、その「カルチャー・ギャップ」に大いに悩まされてきた(エンジョイもしたが)筆者のこころには、「素晴らしいアメリカ」の陰の部分も焼き付いている。
その一つは、米ブッシュ(子)政権による「イラク侵略」における、Curve Ballに象徴される大失態だ。ベトナム戦争に次ぐ、この対外武力政策の間違いは風化させてはならない。
参照:https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2020/10/04/000000_1

昨今、活発な「グローバル人材育成・教育」論。それ自体は素晴らしく、筆者にも講演の機会が増えているが、都度、異文化理解(異宗教)の理解こそ大事と強調してきた。詳しくはこちら(PDF)
そこでは常に、ハード・パワー(武力政策)に対峙する「ソフトパワー、魅力」の重要性を説いてきた。 (添付写真:現駐日サウディアラビア大使とともに)。

参照:ロマンに満ちたシンポジウム「イスラーム研究の源流」

そんな折、新年1月3日の東京新聞(朝刊)の「こちら特報部」欄での憲法9条ノーベル賞を」という記事は衝撃的だ。
参照:日本国憲法、特に第9条、を保持している日本国民にノーベル平和賞を授与してください
憲法9条」を金科玉条と確信してる筆者は「ガーン」と頭をたたかれた思いだった。

侃侃諤諤の国防論、自衛論。
しかし、戦後68年間、一度の戦争もなかったその根は憲法9条であるということに異論を唱える者はいないだろう。
前述、「カーブボールの愚」と併せ、「戦争への道防止」へのとどめだ。
最強のソフト・パワーだ。


記事にある実行委員は37歳の二児の母とのこと。Change.orgというネットを使って署名運動を行っているよし。早速連絡を取り、何ができるかの相談を開始した。

「なぜことば(英語)を学ぶのか? 異文化を理解するため。
なぜ、異文化を理解するのか? 世界平和のため。
頭記した、鳥飼玖美子氏のことばが響いてくる。

因みに、JACET(大学英語教育学会)の本年度総会(8月28-30日、於:広島市立大学)のテーマは:

Fostering English Communicative Competence for Peace and Friendship
「平和と友好をめざす英語コミュニケーション力の育成」だ。
参照:The JACET 53rd (2014) International Convention

 

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