浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第220回「子供に英語でPCスキルを」(2005年)

 

2005/08/03 記

手段としての英語とPCを自然に楽しく学べ、世界標準的なスキルを駆使して中身を構築し、心を伝えていくことができる。子供たちはなんとたやすく入っていくことか!

 旧聞ながら、昨年2004年8月27日の朝日新聞に「小学校の英語導入の是非」と題した2人の大御所の非常に興味深い論争があった。以来、関係者間で白熱論議が続いている。

 「反対」の立場を取るのは英語学会理事でもある慶応言語文化研究所教授の大津由紀雄
「小学校から英語を」というのは「早いほどよい」という信仰にも似た考え方だ。小学校で週何時間か学ぶくらいで英語が身につくと思うのは、幻想に過ぎない。文法も併せて理解しなければ自分の考えを英語で構成し、表現することはできない。もう一つの問題は小学校教員が専門的な訓練も受けないまま英語を適切に使いこなせるとは思えない。いま検討すべきは、小学校に英語を導入する事ではない。大学までの教育全体だ。 

  一方、中央教育審議会委員を務める、国際教養大学長の中嶋嶺雄氏は「賛成」:
 世界で活躍するために、今こそ小学校でも英語を教科として教えることを決断すべきだ。そうしなければ、導入は10年以上は遅れるだろう。21世紀に入り、さまざまな領域でグローバル化が急速に進んでいる。世界と直結しなければ日常生活もできない。国際言語である英語を身につけることはもはや欠かせない。小学校英語の議論が高まっているのも、日本の経済大国としての地位が揺らぎ、国際社会から取り残されかねないとの危機感があるからだ。国際的な視点からだけではない。言葉を覚えるのは、耳から入る音楽と同様、早いほどよい。


 長く、ビジネスマンとして世界を見聞してきて、今の日本が最も重視せねばならない教育項目は、子供たちの「心」、ことに徳目の育成、と信じる筆者にとって大津教授の視点は実にその通りと共感する。他方、男女4人の子供の教育を通じて、日米両国での初等、中等、高等教育の経験、そして、自分自身の(英語力不足で苦しめられた)個人的経験より、中嶋学長の主張も強く響く。

 と、蝙蝠のごとく(動物か、鳥か)実に悩ましい論点であるが、ここでは、いまや世界に普及してる才能教育(鈴木メソッド)の第1期生である中嶋教授の主張に軍配を上げよう。楽器(ヴァイオリン)が子供たちの心を世界に語れる有効な手段である、とオーボエ吹きの端くれ(だった)筆者も痛感している。

 そんな折、NPOによる「子供に英語でPCスキルを」運動を知り、来週後半の新潟大学でのCIEC(コンピュータ利用教育協議会)によるPCカンファレンスに参加することとした。 

 これだと英語学習は目的ではなく、「手段としての英語とPC」を自然に、かつ楽しく学べ、世界標準的なスキルを駆使して、「中身」を構築し、心を伝えていくことができる。ゲームを初めとして、子供たちはコンピュータの取り組みになんとたやすく入っていくことか!

 そして、そこでは「Realize Your Vision」(右写真)と、子供たちに「(技術を使って)自分の視点を明らかにしていこう」という啓蒙運動でもある。

関連情報:
教育ソリューション協会  http://kyouikusolution.jp/index.html


EasyTech:米国を中心に3万人以上の教師と約150万人の生徒が利用している教育システム  http://www.lear「ning.com(英語)

ISTE(International Society For Teaching in Education)と提携による。
IT教育技術基準の国際的な普及と“デジタル・デバイド”の解消をその使命とする。
https://www.iste.org/ (英語)