2005年11月16日
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「グローバル・コミュニケーションと日本人の英語」 |
11月8日に行われた朝日新聞と早稲田大学の共催による「グローバル・コミュニケーションと日本人の英語」フォーラムは、国際活動の場における英語の必要性という角度からのセッションであった。
http://www.asahi.com/event/TKY200510170302.html
なかんずく、明石康元国連事務次長(写真・中段)の話は興味深かった。
まず、「世界で一番使われてるのはBroken Englishである」という同時通訳の大御所・村松増美氏との話を披露。そして自身の英語は「秋田なまり」というジョークに続き、現在の日本(人)の英語力不足は深刻である、と指摘した。それは国の国際的存在感にもかかわってくる。
この明石氏(の英語力)については「英語でしゃべらナイト」の松本和也NHKアナウンサーが「もっとも印象に残った」と金沢における「小中学校英語」フォーラム」で披露していた(参考:全国小中学校英語教育特区研究大会 in KANAZAWA)。
確かにネイティブ並みの発音ではないが、やはり「心を通じさせる英語」は説得力がある。
昨年12月放映のその番組を基に本が出版されており、その名も「サムライと英語」(角川One)。幕末期に初めて英語に接したサムライ達の苦労話を中心に明石氏が異文化コミュニケーション論を語っている。
https://www.amazon.co.jp/サムライと英語-角川oneテーマ21-B-57-明石-康/dp/4047041653
番組ではトム・クルーズが「サムライ精神や武士道に強く共感する」と述べた由で、続いて披露されたペリーがサムライ達について回想したという言葉は日本人として改めて襟を正される。
「日本人は洗練され道理をわきまえた人々である。世界中のどこにも日本人のように気取りのない、優雅さと威厳を備えた人々を私は見たことがない」
それは拙稿サウジアラビア大使のことばと同じである(参考:万博でのサウジ・ナショナル・デー)。
白井克彦早大総長の「英語=地球社会を作るための手段」という挨拶に続きたっぷり3時間。コーディネータの清水建宇・朝日新聞論説委員の言葉を借りても「早期英語教育導入」については全員賛成であり、ここではその論争はなかったが、詳細は11月28日号朝日新聞朝刊に出る由。
松井大マネックス・ビーンズ証券社長は「英語は異なる世界との対話の手段であるが、ダボス会議など国際会議では日本人が少ない」と指摘。フローラン・ダバディー氏は「なんであれ未知のものごとに飛び込む姿勢が大事」と強調した。
中野美知子早稲田大学教授は、その英国エディンバラ大学院応用言語学博士という輝かしい経歴にもかかわらず「私は話が下手」と謙遜しつつ、しかし、その英語教育論はさすがであった。
いわゆる英語圏人口は3.8億人であり、他は非英語圏人種。そして、世界ではいずれにしても政治・経済の中心に手段としての英語がある。そこでのキーワードはIntelligibility(共通理解)であり、これはCEF(欧州諮問機構)における取組がなされている。
その中野教授の著書は「英語は早稲田で学べ」である。
https://www.amazon.co.jp/英語は早稲田で学べ―ネットワーク型教育が「大学英語」を変えた-中野-美知子/dp/4492042164
一方、慶応大学では今年も12月に2つのシンポジウムを開催する。一昨年、昨年の同シンポジウムは「小学校での英語教育は必要ない」ということだっただけに、いかなる展開となるか、激論が楽しみである。