浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第152回】マンハッタン北に眠る野口英世と妻メアリー

 

2008年3月11日

3月5日にニューヨーク北部のウッドローン墓地を訪ね、高峰譲吉野口英世の墓を詣でた。いずれもアメリカ人女性と結婚し、ここに眠っているが、この2人のアメリカでの軌跡は、ロサンジェルス在住の作家飯沼信子氏の著述に詳しい。

 

NYマンハッタンから4番の地下鉄に乗り、ヤンキーススタジアムを経由して約30分。北部ブロンクス区の終着駅はジェローム駅だ。  

この駅を下りるとすぐウッドローン墓地(Woodlawn Cemetery)がある。同じくマンハッタンのグラセン(Grand Central)駅からHarlem線でWoodlawn駅で降りても、広大な敷地の反対側の入口に達することができる。  

訪れたのは3月5日。春には美しい緑の芝生が広がるこの墓地は、この日、あいにくの氷雨だった。NY元市長ラガーディア(飛行場の名前にもなっている)、ジャーナリストのピューリッツァー、小説「白鯨」のメルヴィル、five-and-ten(5セントか10セント)というディスカウント・ショップで知られるウールワース、それから音楽関係で言えば音楽院設立者のジュリヤード、バイオリニストのクライスラー、ジャズのマイルス・デイヴィスデューク・エリントンなど多くの著名人が眠る。  

その案内書の科学・発明者の項にある4人のうち、2人は日本人だ。ジアスターゼ(タカジアスターゼ)の発明者、高峰譲吉野口英世である。   

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左:ひっそりとある墓碑。右:緑に変色した記述

 その野口英世とその妻メアリーの墓は、周りには大きな廟(びょう)が多い中、ひっそりとしており、その分国際社会に飛び込んでいった先達日本人の心情が偲ばれるような気がして、心に沁みる。

手前のプレートに2人の名前ははっきり読める(写真左)。

Dr. HIDEYO NOGUCHI 1876-1928

Mrs. MARY NOGUCHI 1876-1947  

墓碑の銅版は緑に変色して読みにくいが、こうある(写真右)。

HIDEYO NOGUCHI

BORN IN INAWASHIRO JAPAN NOVEMBER 24 1876

DIED ON THE GOLD COAST AFRIA MAY 21 1928

MEMBER OF THE ROCKEFELLER INSTITUTE OF MEDICAL RESEARCH THROUGH DEVOTION TO SCIENCE

HE LIVED AND DIED FOR HUMANITY

二人の碑



野口英世 

1876年11月24日 日本国猪苗代にて出生

1928年5月21日 アフリカの黄金海岸にて死去

ロックフェラー医学研究所メンバー

科学への貢献を通じて

人類のために生き、そして死んだ

(拙訳)  

 

高峰譲吉野口英世。いずれもアメリカ人女性と結婚し、ここに眠っているわけだが、この2人のアメリカでの軌跡は、ロサンジェルス在住の作家飯沼信子氏の著述に詳しい。  

なかんずく、野口英世と妻メアリーをめぐる「野口英世の妻」(新人物往来社)は、フィラデルフィア、ニューヨーク、ニュージャージー、猪苗代を訪ね、歴史的にも興味深いドキドキするような「探訪記」である。

参考拙稿: 春の叙勲に思う

野口英世関連のリンクは多々ある:

Woodlawn Cemetery (野口英世)

【野口メリー】家庭支えた良識ある妻福島民友新聞社

野口英世の金銭感覚