浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第145回】「被ばく」って何?

 

2011年3月17日

 

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原発事故の新聞見出し

広辞苑によると:

被曝:放射能にさらされること

被爆:爆撃を受けること。特に、原水爆の被害を受けること。放射能を受けること。

つまり、今回の福島原発事故による「被ばく」とは前者の被曝だ(exposure)。 両者は紛らわしい表現であり、何か適切語を作る必要があろう。

加えて、メディアは「(建屋の壁などの)爆発」と一体で報道・解説するから、受け手はどうしても核爆弾を連想し、いつ反応炉が爆発して何十万人を殺傷するか、というイメージに直結して、生活上のパニックが誘導される。

また、現場での「炉心冷却」にあたる作業員のご苦労振りには頭が下がるし、勇気をたたえるわけだが、これもまたイメージとして「(炉の)爆発」による殺傷・被爆の可能性ととらえがちだが、実は「(放射線に)曝される」危険が問題なのだ。

チェルノブイリ事故においては、過度の圧力上昇、水素爆発そして全ての容器の破裂、溶けた核物質を外界に放出したことにある。

しかし、色々文献を調べても、反応炉の核燃料は「決して」核爆弾のような核爆発を起こすことはないという。

MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説 - A Successful Failure

核爆弾を作るのはまた別の、高度な技術だ。

この肝心のところを、政府も東電も、毅然と発表、通告すべきである。 これを受けてのメディアの報道・解説もいたずらに微に入り細に入りの 解説だけではなく、恐れるのは「核爆発ではない」という、肝心の点を強調すべきである。

因みに、1973年3月、米ペンシルバニア州スリーマイル島原子力発電所で発生した事故は、原子炉冷却材喪失事故(Loss Of Coolant Accident、LOCA)に分類されるが、「核爆発」ではなく、被曝犠牲者もなかった。(2009 8月、米国原子力規制委員会報告)

他方、我々市民側もメディアに煽られる愚民ではなく、素朴な疑問を持つ「大いなる 素人」でありたい。「被ばく」って何?

http://www.janjanblog.com/archives/34097 危機時にこそ冷静さを

http://replay.web.archive.org/20090616141710/http://www.news.janjan.jp/living/0906/0906024429/1.php インフルエンザ狂騒に思う-「大いなる素人」の眼を