浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第11回】 Sound Of Musicで英語力向上!


2009年07月27日

 

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The Sound of Music


マンハッタンから車で、マサチュセッツ州の夏の音楽祭で有名なタングルウッド(Lenox) や新島襄(幕末に函館から脱藩。後年同志社設立)が学んだアムハースト(Amherst)を越えてほぼ真北に向かって約四時間。スキーリゾートで有名なバーモント州のStoweに達する。そこはナチの手を逃れてオーストリアを脱出、トラップ大佐Colonel(カーンルと発音) Von Trapp一家が終の棲家とした美しい地方。故郷ザルツブルグに似た「サウンドオブミュージック」の世界である。

この時空を越えた(go beyond time and space)感動の実話は我々の心を打つ。 そして、本稿もSound of Music「音楽の響き」から「Sound of Language言葉(英語)の響き」つまり英語教育の大事な「口頭英語」にと飛んでいく。

英語を学ぶには映画が良いと言われ、音楽と言葉(英語)の習得は類似してるとの ことだし、「サウンドオブミュージック」は、楽しみながら学べて一石二鳥だ。 日本人にとって一番苦手なSpoken English、口頭英語。つまり「聞く・話す」という技能向上のことである。

TOEICを施行している(社)国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が発表したアンケート調査結果でもやはり:
・ビジネス英語にはディベートとスピーチ訓練が必要。
・今後職務上必要となる英語の能力について、「聞く・話す」が多かった。
とあり、これは実感としてよくわかる。

それは日本で日常語化してる「英会話」ということになるのだが、考えて見れば不思議な言葉である。 PLS(Private Language School)民間語学学校とは言うが、アメリカ人に「会話学校」Conversation Schoolと言ってもちょっとピンと来ない。 実際、会話Conversationって教えられるのだろうか?

「会話」とは広辞苑によると「向かい合って話し合うこと」とあり、教えられる技術ではなく、いわゆるところのコミュニケーションである。

そもそも、英語力とは「用意できない答を答える能力」、つまり、「不意打ちに耐えられるもの」「与えられたトピックに対してどんな答えが出てくるかは前もって決められない」代物。(「英語力とは何か」山田雄一郎、大修館書店)
Spontaneous Reactionは難しい。

それがペラペラになる(よどみなくしゃべる)なんてありうるのだろうか? sound off、大声でまくしたてられても困る。 肝心なのは(往々にして必要に迫られた)本人の「やる気」なのだが、「沈黙は金」 Silence is goldenという文化の革命が前提となる。

サウンドオブミュージック」には「英語(による会話)力」向上の秘訣がいくつかある。

*I have confidence in me(自分に自信をもって):
マリアがはじめて大佐邸を訪ねる時の歌。

*Do-re-mi-fa-so and so on are only the tools we use to build a song(ドレミは歌を歌うためのただの道具):
英語だってコミュニケーションの道具なのだ。

*Climb every mountain(すべての山に登れ):
トラップ一家が運命に立ち向かうシーン。困難を乗り越えてChallenge!

*そして極めつけはマリアと大佐の互いの恋の告白、"Something good"(何かよいこと)で歌われるNothing comes from nothing。
「無から有は生じない」とは、英語もInput(読み、聞く)がないとOutput(書く、話す)はない、と同義である。

(社)日本在外企業協会 「グローバル経営」より転載・加筆

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