浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第127回】清水、次郎長、英語力

 

2006年6月14日

 

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街道一の親分(次郎長通りの生家で)

6月12日は幕末、明治の侠客、清水次郎長こと、山本長五郎(1820-1893)の命日である。

 広沢虎造浪花節で有名な「街道一の親分」はずいぶん波乱に飛んだ 人生を送ったようだ。ただ、『東海遊侠傳』の咸臨丸事件の話など、あまりに都合が良すぎて、実体はもっと野暮ったい、つまり人間くさいものらしく、逆に興味深い(後述「有鄰」座談会参照)。その中でも、なんと教師を招き青年たちに教える英語塾を開設とあるのは本当らしく、まさに「時代の先見」であろう。

 さて、その静岡県・清水にある東海大学海洋学部校舎で、全国語学教育学会が開催された(5月13-14日)。

JALT (Japan Association Of Language Teachers) は語学教育の学術団体で、全国40の地方支部や海外に3,000人の会員を擁している。
JALT | Learning to Teach, Teaching to Learn

今回はその分野別研究部会(SIG)に約200人が集まった。

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「口頭英語力」のテスト・評価部会発表

テスト・評価部会においては、法政大学の Jeff Hubbell教授の司会で、ハワイ大学のJ.D. Brown教授を中心に、「日本における口頭英語力」討論会があった(写真右中)。筆者がライフワークとも思う音声認識を使っての(口頭)英語力測定 PhonePass (現名Versant)も俎上に上がる。

2/3 英語スピーキングテストフォーラム2006 [ビジネス英会話] All About

アメリカ大使館での人事採用時の英語力評価に挙げられている。

Embassy of the United States Tokyo, Japan - Embassy Information

小学校英語」もいよいよ発進のよし。教師養成が焦眉の急だが、加えてその評価方法が重要である。

(関連記事:【第84回】 JETに想う 人のつながり - 浜地道雄の「異目異耳」

 因みに、英語力評価について、山田雄一郎教授(広島修道大学)は下記を指摘している。
・ 欧州基準CEF(The Common European Framework)のように透明な共通基準が必要。
・「対策・準備」の結果上がった点数を英語力向上とみなせるか?
・予期できない(=準備できない)質問に迅速に的確に反応できる能力がだいじ。
(『英語力とは何か』大修館書店)

 

(参考)

情報誌「有鄰」(第417号、有隣堂

 “座談会:清水次郎長、「海道一の大親分」の実像”より
 漫画家 黒鉄 ヒロシ
 作 家 諸田 玲子
 文芸評論家 藤田 昌司

【黒鉄: それに、英語塾を始めるとか、アカデミックなにおいも。
 藤田: その英語をやれという話は、すごいですね。
 黒鉄: あれはほんとですもんね。向島の「末広」の一室を開放して、教師を招いて青年たちに英語を教えているんです。
 諸田: やる気はあったみたいですけど、本人は英語が何たるかを知っていなかった。
 藤田: 英語塾で勉強した人の中からハワイに行った人がいますね。
 黒鉄: 三保村の川口源吉。ハワイ移民の先駆者として成功した源吉の生家は、今でも「ハワイさん」と呼ばれているんです。でも、英語がどのぐらい達者だったかはわからないですよ。(笑)
 藤田: パッと、ええとこどりでしょうね。】