2013年10月07日
(右から)パネリスト: 名古屋外国語大学長 亀山郁夫氏 文部科学省審議官 坂東久美子 氏 三菱商事取締役会長 小島順彦 氏 東京工業大学教授 池上 彰 氏 |
10月2日、日本経済新聞社主催の「大学改革シンポジウム・成長戦略における グローバル人材の育成」は素晴らしかった。
参照:www.nikkei-events.jp/daigaku/
内容については10月中旬の日本経済新聞に特集されるとのことゆえ、ぜひご覧あれ。
以下、そこでの各パネリストの有益な論議から、個人的立場で大いに共感するところを
について連想ゲーム的に記す。
「なぜ英語(ことば)を学ぶのか?」という命題への示唆となれば幸いだ。
1)何よりも、「(仕事で)使える英語」教育に腐心する筆者としては
三菱商事会長小島順彦氏の「ペラペラである必要はない」「自分の意見が言えること」という
主張に大いに賛同するものである。
同氏の商社マンとしての最初の赴任国はサウディアラビア。そこで自信を付けて、後年、米国ニューヨーク市に赴任したとのことで、奇しくも筆者もまったく同じ経路(サウディアラビア⇒NYC)、同じ意見である。
自信を付けたというのは「英語が上達した」というよりも「下手でも構わない」という自信とのこと。添付日本経済新聞記事参照 (2011年3月2日夕刊)
しかし、同氏の「英語力」を知る筆者には「爪を隠す能ある鷹」(日本的美徳)と思える。
「ペラペラである必要はない」という主張は、拙稿前号に記したカリスマ講師、安河内哲也氏(東進ハイスクール)の「実用英語推進」にも通じる。
参照:【第54回】 Charisma講師、「実用英語推進」へ - 浜地道雄の「異目異耳」
またこれらの点は「産研フォーラム(早稲田大学産業経営研究所)」の第38回「あらためて問う、英語と企業のグローバル化」にても的確に討議された。
参照:早稲田大学 第38回産研フォーラム 「あらためて問う、英語と企業のグローバル化」(PDF)
2)音楽好きの筆者がことに嬉しかったのは名古屋外国語大学長(前東京外国語大学長)亀山郁夫氏が「人間力」「教養」、これ即ちりベラル・アーツであり、「言葉と音楽」を主張されたこと。
文部科学省の審議官坂東久美子氏は、秋田県副知事(当時)として「秋田教養大学(元米ミネソタ州立大学)」の前中嶋嶺雄学長(今年二月逝去)と協力して設立したことを報告した。 因みに中嶋氏は、バイオリンの才能教育で世界的に有名な「鈴木メソッド」(長野県松本市発祥)の弟一期の生徒である。
ロシア文学者の亀山氏は昨2012年の「ラ・フォル・ジュルネ 熱狂の音楽祭」のテーマが「ロシア」であったことで、アンバッサダーを務め、著書もある。
参照:◆ドストエフスキー・ブームの仕掛け人・亀山郁夫氏がLFJアンバサダー就任!公式本が発売
ロシア・バレー団のかってのプリマは在マンハッタンだ。
参照:【第138回】ミュージカル「踊る大紐育」主役を訪ねる(NYC) - 浜地道雄の「異目異耳」
そのマンハッタンのリンカーン・センターで遭遇した「西東共演」とは、「ダルビッシュ」を中心とする、中東イスラム文化である。
参照:【第140回】リンカーン・センター(NYC)で遭遇した「西東協演」 - 浜地道雄の「異目異耳」
3)モデレータ兼パネリストの池上彰氏(東京工業大学教授)の博学多識ぶりはいかんなく発揮されたが、ことにサウディ・アラビアにまで行っての秀逸なレポートは筆者の記憶に残っている。
参照:【第144回】池上彰氏の「2012年を読み解く~サウジアラビア」 - 浜地道雄の「異目異耳」
因みに、現駐日サウディアラビア大使は早稲田出身の親日派。
参照:サウジアラビア皇太子のメッセージ
池上氏の締めくくりの「教育の目的はなにか?について」のことば。
北欧の例を引いて「良き(=健全な)納税者を増やすこと」というのは社会のシステムを維持、発展させるためには不可欠な至言だ。因みに、フィンランドはOECD-PISA (世界的学力調査)で、常にトップ・クラスである。
また「世の中を良くするため」ということばもあった。世界を揺るがす中東情勢の
根にある「パレスチナ・イスラエル」の和平対話を日本がリードする。筆者は
その象徴的核として、「西東詩集管弦楽団」の日本への招致を目指している。
参照:イスラエル・パレスチナ紛争に思う「西東管弦楽団」
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