浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第44回】番外編 ENGLISHNIZATION ~ 「(仕事で)使える英語」の壮大な実験


2012年07月03日

 

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予約注文をしていた「たかが英語! ENGLISHNIZATION」(三木谷浩史講談社)が届き、早速読んだ。


ドキドキしながら、しかし、全189ページをスラスラと小一時間で読み切れた。

まさにこの「グローバル化待ったなし」の日本にあって、その重要手段たる「英語力増強」を、楽天社長三木谷浩史氏が強烈な個性(信念)をもって、確たる「仮説」にもとづく「直感」で実行に移す過程は感動的だ。

引用開始(p26):

「仮説」:ビジネスにおいて重要なことは、仮説を立て、実行し、検証した上で、仕組化することだ。
このプロセスを愚直につづけていけば、必ずビジネスは成長する。僕はそう信じて、これまでやってきた。
「直感」:社内公用語を英語にすれば、社員はみんな英語でコミュニケーションができるようになり、楽天の海外展開を加速させることができる。これは僕の直感だ。

引用終わり


この直感「Intuition」という言葉は非常に重要だ。
哲学関連の専門書を見ると直観、直感となかなか難しいことが書いてあるが、筆者は「本能(Instinctive)」という生来のものと違い、後天的に情報を得て、教育を受けて、失敗も成功も経験、そこで学び、蓄積した知識により、感覚として評価、判断する「知力」と簡潔に定義している。(言葉・英語についてNativeであるかAcquiredかということと軌を一にする。)

この判断は、育った環境、家族関係、友人・同僚・顧客関係、学校での経験、社会的要素、これらの「得られた知識」を基に、総合的に人のこころ・頭脳の中で行われる。そこでは、まさに、KIP(Knowledge Is Power/Pleasure)、知識(知力)こそ力である。
参照:明治大学における弊「国際キャリア講義」(音がでるので注意)


さて、本書では、TOEIC研修を主体にその方法論が仔細にかかれているが、但し、「TOEICでは不十分」(p84)と正当に認識した上でのこと。
そこでは筆者がその普及をライフワークとも思う、シリコンバレー生まれの
音声認識データを駆使した、自動スピーキングテストVersantにも言及してる (p83)

そしてまた、嬉しいことに 「グロービッシュ公用語」とも言明している(p32、p150)
「仕事で使える英語」への提言(前) Globish (Global English)
「仕事で使える英語」への提言(後) スピーキングテストVersant

それにしても、この7000人の英語力増強という壮大な「実験」(P43)を遂行した、社員、担当者の苦労は如何ばかりであったろうとの思いもよぎる。

もとより帰国子女でもなく、若い商社マンとして国際ビジネス現場(中近東)に放り出されて、以来、言葉(英語)、異文化への対峙に悪戦苦闘してきた筆者は、まさにわが意を得たりの思いで、本書を必読の書としておすすめする。

なお、本書の収益は、全額、東日本大震災の寄付に当てられる、とのこと。

■ 関連拙稿リンク:

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