浜地道雄の「異目異耳」

異文化理解とは、お互いに異なるということを理解しよう、ということです。

【第194回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(11)

 


(2018.10.15 JICL法学館憲法研究所に寄稿)

 

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高校生に「平和憲法」を説くマハティール首相(西日本新聞



 

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NY国連前の筆者(2018年5月14日)



マナティール首相、「9条、平和憲法」を国連で評価

 

本年8月8日付け、西日本新聞朝刊の記事は衝撃的でした。
人口3千万のマレーシア国、マハティール首相(93)が来日、福岡県で、経団連主宰、若者(高校生)向けのセミナーにおいて、戦争放棄を明記した日本国憲法(9条)について「戦争に加担しないという模範にすべき平和憲法。マレーシアの憲法にもこの条項を加えたい」と講演をしたとのこと。

これは凄い!!と思うと同時に、色々調べたところ、国連総会(NYC)で各国首脳が外交方針や国際課題を議論する一般討論が9月25日から始まり、28日にはマハティール首相の登壇であることが判明しました。

そこで、早速、「九条は世界の宝」を主張する同志(SA9:Second Article 9)と図り、マハティール首相あて「国連総会で、ぜひ、日本の平和憲法、第九条について言及し、世界にその価値を訴えてほしい」との書簡をしたため、同大統領あて発送(写し⇒駐日大使館)しました。

そして、当日、固唾を飲む思い。

結果、同首相は総会演説でテロの続発や米中の貿易戦争を例に「世界は15年前より悪化している。経済的、社会的、政治的に混乱状態だ」と指摘。
その後の記者会見で、九条を「日本が戦争することを許さない憲法」と位置づけ、「(改憲は)平和を促すのではなく、問題解決のために戦争を使う他国に加わることになる」と指摘したよし。
東京新聞朝日新聞、他共同通信配信で地方紙)
我々のアピールが多少なりとも、奏功したのかもしれません。

同時に、その英語版毎日新聞やJapan Timesで報道されました(Kyodo発)。

Mahathir warns against revision of Japan's pacifist Constitution - The Mainichi


これ(英語版)を早速、世界各国の知識人に伝え、熱烈な反応を得つつあります。

さあ、ここまで来た以上、なろうことならアポイントをとってマレーシアに飛びマハティール首相を訪ね、お礼と共に、今後ともの支援をお願いしたいと大胆なことを密かに考えております。

改めて、「(戦争放棄の)9条は世界の宝」。これは世界に通じるキーワードと痛感する次第です。

 

 

【第193回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(10)

 

 


(2018.10.1 JICL法学館憲法研究所に寄稿)

 

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ノーベル平和賞授賞式が行われるCity Hall



 

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PRIOにて (7月10日、オスロ



ノーベル平和賞2018

 

10月5日、金曜日。いよいよノーベル平和賞2018の発表です(オスロ)。

平和学の父、ガルトウング教授らが1959年に創設したオスロ国際平和研究所(PRIO)は予想リストに「九条の会」をも挙げています
nominator(推薦者)、野元晋慶應義塾大学教授は「中東イスラム思想史」が専門。
(ことの経緯については本欄1月22日に投稿しました)

今年も300ものnomination(推薦)があったとのことゆえ、高い競争率ですが、険悪な世界情勢の中、「世界の宝9条」に期待をしましょう。
(賞の対象は「個人」または「団体」ゆえ、9条そのものは対象外)

 

【第192回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考  (9)

 

 


(2018.8.6 JICL法学館憲研究所に寄稿)

 

 

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Oleander夾竹桃Project 歓迎会



 

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イスラム若者と談笑のチョムスキ—教授



 

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ICAN/PB 川崎哲さんと



原水爆禁止を訴える夾竹桃プロジェクト

 

5月12日はNYCでの国際平和会議、そして7月11日には
オスロで「ノーベル平和賞受賞者会議」の事務長らに「憲法九条は
世界の宝」とアピールし賛同を得ました。

帰国後、そのことを「九条地球憲章の会」の研究会で発表しました(7月25日)。

そこでの出席者、浅川和也氏(平和教育者)がOleander Project(「中東・平和教育原水爆禁止」というNGOを紹介してくれ、その歓迎会に出席しました。
(8月1日。於:清泉女子大学。主催:新英語研究会)

Oleander夾竹桃は広島(復興)のシンボル花
それを冠して、レイ松宮氏(在ボストン、日系米人)が推進するNGO。中東やアメリカにいる高校教師を招いて、平和教育を討議する。
今年も「原水爆禁止世界大会(広島)」に参加する。
帰国後、授業で、生徒たちに核兵器の悲惨さ、平和の大事さを伝えてもらう、との素晴らしい運動、と知りました。

イラン、レバノン、モロッコパレスチナなど中東から。また、米国はマイアミやボストン、NYCからの参加者もいて、筆者(浜地)の頭の中では大混乱。
が、それぞれ個人的経験(もと中東駐在商社マン)から馴染みもあり、会話が弾み、「九条を護り、世界に広げる」に賛意を得ました。
勿論、トランプ追従の危険についてもー。

写真背後の十字架(清泉はカトリック)とヒジャーブ姿はECUMENICAL⇒INCLUSIVE寛容の象徴にも見えます。
(5月12日、NYCにて、ユダヤ人のチョムスキー教授がイスラム教徒の若者と談笑していたように)

そして、思いがけずICAN/PBの川崎哲さんに再会。「九条の精神で世界憲章を」運動への理解・支援をお願いしました。

記念写真でどうして皆が笑っているかというと、「(はい(チーズの代わりに)ビール」と言って、すぐ「ノン・アルコールの」と叫んだからです。
実際、パーティーはアルコール無しでした。

(参考)同プロジェクト、原水爆禁止2016年世界大会出席の報告

 

 

【第191回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(8)

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ノーベル平和センターにおける特別写真展協賛のNational Geographic



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平和を歌うBrigitte Grimstadさん



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NATO軍事演習に抗議するIngeborg Breinesさん



 

(2018.7.23JICL法学館憲法研究所に寄稿)

オスロで「世界の宝九条」をアピール

 

5月12日、NYCにおける国際平和会議TWO MINUTES TO MIDNIGHT(「あと2分で世界は終末を迎える」という国際科学者連盟の警告)において、N.チョムスキー教授をはじめ、世界の錚々たる平和リーダーの話を聞き、同時に、事後の懇親会も含めて「世界の宝九条」をアピールできたのは、幸運以外の何ものでもありません(PDF)。

その出席者リスト、議題を振り返り、改めて「凄いところに行きあわせたなあ!」との感を強めています。

さて、その「九条の会(と日本被団協)をノーベル平和賞に」という運動を長年推進してきた筆者(裏方)としては、やはりどうしてもノールウエイ・オスロに飛び、直接関係者に会い、状況を確かめ、「九条は世界の宝」とアピールせねばと使命感をずっと抱いてました。

そしてついにオスロ(及びストックホルム)訪問を決行、「ノーベル平和センター」、「PRIO国際平和研究所」等々を訪ねることが出来ました。
*1 ノーベル平和センターでは、何と特別写真展Generation Wealth(謙虚さ質素さを忘れ富を追う現代)をNational Geographicがスポンサーとのことで、当事関係者たる筆者は特に嬉しいこと。
*2 PRIOの創立者は「積極的平和」提唱のJ.ガルトウング教授。

A.・ノーベルの平和希求という観点から、ノーベル平和賞を「監視」し、ずっと「憲法九条の世界的価値」を評価してくれたのが平和問題の識者、Fredrik Heffermehl氏(元々は憲法学者浦田賢治教授の紹介)。

同氏の紹介で、関係者がオスロ議会前の広場で平和(軍縮)アピール集会をするというので、
早速行ってみました(7月11日)。

演説するのはIPB(International Peace Bureau)の前共同会長のIngeborg Breinesさん
IPBは何と、前述、5月のNYCにおける平和会議の主催団体。
折しも、NATO北大西洋条約機構=米国を中心とする欧州での集団的軍事機構)による大規模軍事訓練があり、それへの抗議集会に参加、ベルリンから帰国した直後とのこと。
ギターを抱えて歌っているのはプロの歌手Brigitte Grimstadさん。82才とのことだが、まだに魅力のある歌声。

皆、この飛び込みに過ぎない日本人一市民の「戦争を禁止した日本国憲法九条の世界的価値」というアピールを、素直に賛同、評価してくれました。

極寒の長い冬があるからこそ、北欧のこの7月は本当に晴れやかーー。

 

【第190回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(7)

 

 

(2018.6.4 JICL法学館憲法研究所に寄稿

 

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控室で、羽場久美子教授(主催)、木村朗教授と共に

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ガルトウング教授講演(通訳は奥様)

 

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鳩山由紀夫元首相も加わり、討論会



 

 


「平和学の父」ガルトウング教授の積極的平和論

 

 NYCでの国際平和会議で、「世界の良心」N.チョムスキー教授に思いがけず再会、「九条は世界の宝」「トランプ追従の安倍政治は危険」との言明を得たのは、5月12日でした。  (本欄、拙稿、2018年5月21日付 https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2021/02/02/112833

 そして、帰国後間もない5月25日、今度は「平和学の父」J.ガルトウング博士に再会。「九条の精神で地球憲章を」と主張する私は大いに励まされました。
 同博士は、青山学院大学国際研究センター主催(共催:鹿児島大学)での講演会にて、鳩山友紀夫元総理と共に「アジアの平和をどう作るか?」を強く語りました。

 そこでは、「戦争による平和構築は時代遅れ」と喝破。また、「世界で米国の影響力が低下している」と指摘、「日本はそれに追随すべきではない」と警鐘を鳴らし、これは先のチョムスキー教授の言葉と重なり、時空を超えての共鳴と筆者(浜地)には映りました。

 また、東アジア共同体の構築の必要性を訴え、「沖縄を共同体の拠点機能とするという視点もある」と持論を展開、他方、鳩山友紀夫元総理も「北朝鮮の脅威もかなり誇張された形で言われてきた。今必要なのは対話を通じて平和を作っていこうという方向だ」と強調しました。
 さて、言うまでもなく、ガルトウング博士は「積極的平和主義」の提唱・推進者として世界的に認められており、その安倍政治(地球儀俯瞰外交・安保法制・集団的自衛権憲法改正)への疑問は大いに理のあるところ。 

 就中、拙稿に見るごとく、安倍総理の「積極的平和」論は「(意図的)誤訳・誤用」であり、これは現下の政局にあって、厳しい論議の必要性を訴えねばならない、との思いを強くしました。https://hamajimichio.hatenablog.com/entry/2020/09/13/000000

 思いがけず、講演会の当事者である与那覇恵子(名桜大学)、木村朗(鹿児島大学)両教授に再会、護憲を確かめ合えたのも幸運でした。

 

関連拙稿:ガルトウング教授が創設のPRIO 

【第193回】ノーベル平和賞(日本被団協と九条の会に)考(10) - 浜地道雄の「異目異耳」